ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の東北大理系数学 -2004年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、東北大学の2004年の問題を取り上げます。

第1問

f:id:stchopin:20210902123924p:plain



ベクトルと整数の融合問題です。とはいえ、ベクトル要素は薄めです。

 

(1)aとbの内積が条件式から求まるので、|ka+lb|^2を素直に展開しましょう。

 

(2)|ka+lb|^2=0 は変形すると、平方数A+平方数B=0の形になります。これが成立するには、A=B=0しかありません。

 

(3)|ka+lb|^2は、kとlの2次式になるので、予選決勝法で考えていきます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131308p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20210902123945p:plain



曲線の長さの合計値を考える問題です。与えられた式が威圧感たっぷりなうえに、場合分けも発生する、難しめの問題です。

 

(1)は、C1の大まかな概形を知ることが必要ですが、xが単調増加でyが上に凸だと分かれば、面積を計算するには十分です。計算結果が案の定、メチャクチャ汚いです。

 

(2)曲線の長さを求める公式に当てはめるだけなのですが、3通りの場合分けが必要で、それぞれの計算も骨が折れます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131334p:plain

f:id:stchopin:20200627131354p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20210902124008p:plain



(筆者注:誤1<y0  正1=y0)

等差数列と等比数列それぞれの相加平均、相乗平均の極限を求める問題です。

 

流れは、まずxnとynの一般項を求めて、区分求積法で極限計算をするというものです。

相乗平均の方は、対数を取ってから極限を求めましょう。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131417p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20210902124030p:plain



(筆者注: p1+p2+p3+p4+p5+p6 =1)

歪なサイコロを題材にした確率の問題です。確率が歪なことを除けば、通常のサイコロの問題です。

 

(1)サイコロの目の出方を考えればよいでしょう。

 

(2)も(1)と同様です。与えられた条件から変数をp1の一本に絞ることができます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131438p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20210902124057p:plain



複素数の問題です。

 

zは絶対値1なので、z=cosθ=isinθとかけます。その上で(1)-(3)を解いていきます。(1)-(3)はそれぞれ独立した小問となっています。

 

(1)(2)は、zの式を代入してθを求めます。

 

(3)も基本的には同様で、まずθの条件式を求めます。

その後の掛け算は、複素数の掛け算が、角度の足し算になることを利用し計算を進めます。

[追記] (3)の答案で、nθを求める工程でミスがありました。+kπではなく、正しくは+2kπです。その結果最終結果が変わるので訂正した回答も載せておきます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131502p:plain

[追記] (3)後半の訂正版です。

f:id:stchopin:20211109072248p:plain

 

第6問

f:id:stchopin:20210902124119p:plain



行列の計算問題です。

 

(1)は素直に計算するだけです。

 

(2)試しに、A,Bを3個、4個並べたものを計算すると、4個以上の積は、

I, A, B, AB, BA, ABA=BAB の6種類のどれかになることが分かります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200627131528p:plain