東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2004年の問題を取り上げます。
第1問
(1)I0は単なる計算問題、漸化式も部分積分で容易に求まります。この時点で、(3)の片鱗が見えます。I3も素直に計算するだけです。
(2)e^x≦e^2を使って積分を計算しますが、これだけでは目標の不等式に到達できないので、もう一段階大小関係を調べる必要があります。具体的には、階乗と指数関数の比較です。一般的に、階乗の方が指数関数より大きくなります。
(3) (1)を使ってΣを表現し、(2)をつかってはさみうちに持ち込みます。
(3)の結果は、指数関数e^xのテーラー展開を使うと容易に求まりますが、この問題はテーラー展開を使わず高校範囲で級数を計算しています。
<筆者の解答>
第2問
行列の計算問題です。
(1)は、行列関係なく、2項定理で求まります。
(2)は計算が結構大変です。ケーリーハミルトンの定理で次数下げをするなど、少しでも楽をしましょう。
(3)試しに、A^2を計算すると、A^nの形の予測ができるので、それを帰納法で証明します。
(4)(a-b)^nの収束する条件を考えれば十分ですね。
<筆者の解答>
第3問
パラメータ表示された曲線を考える問題です。
(1)x,yをtで微分したものが速度になります。
(2)パラメータ表示されたままでは考えにくいので、tを消去してx,yだけの式にしてあげると見通しが良くなります。
(3)x,yの増減を調べればよいでしょう。
(4)対称性から、1/4した面積を計算すればよいです。tの値的に、今回は第2象限で計算するのが考えやすいと思います。
<筆者の解答>
第4問
ベクトルの問題です。
(1)求める単位ベクトルをe=(p,q,r)とおいてp,q,rを求めます。
(2)底面を△OACとすると、高さが(1)で求めたOBとeの内積になります。
(3)は、予選決勝法で考えていきます。
Aを固定してBを動かす場合、Bを固定してAを動かす場合で大きく分かれます。
後者はさらにcとdの大小によっても場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第5問
色の変化の回数を考察する確率の問題です。
(1)色が変化する場所が何通りあるかを考えればよいでしょう。
(2)色が一切変化しないか1回だけ変化する場合を考えたほうが早いです。
(3)n個の電球の間にあるn-1個の隙間にm個の仕切りを入れる場合の数を考えることと同じになります。入った式を境にして色を切り替えることにすればよいからです。
(4)公式通りの期待値計算です。少し手間は必要ですが。
<筆者の解答>