ちょぴん先生の数学部屋

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平成の阪大理系数学 -2003年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、大阪大学の2003年の問題を取り上げます。

第1問

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複素数の漸化式と複素平面を考える問題です。

 

(1)まずznの一般項を求めることから始めましょう。これとド・モアブルの定理を使うと、znが実数になる条件が、n^2×5° が180°の倍数となることが分かります。

 

(2)三角形のどの角度が直角にになるかで3通りの場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

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第2問

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指数関数の2つの接線の交点のx座標が必ず正になることを証明する問題です。(1)が(2)のヒントとなっております。

 

(1)は典型問題です。微分して増減を調べます。

 

(2) 2本の接線の式を出して交点のx座標をa,k で表現します。この式をよく見て、どうすれば(1)を適用できるかを考えましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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恒等式の問題です。

 

(1)要するに、f(x)がn次式のとき、f(x)=0となる解がn+1個以上あるとするとき、f(x)が恒等的に0になることを証明する問題です。因数分解を考えるとよいでしょう。

 

(2)xがπの倍数のとき、sinxとsin2xは常に0となるので、f1(nπ)=0となり(1)が使える形になります。このようにして、f1(x)は恒等的に0→f2(x)は恒等的に0を順に示していきましょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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特殊な漸化式の一般項を求める問題です。発想寄りの難問です。

掛け算が足し算になるという漸化式なので、なんとなく対数が登場しそうだと予想できますが。。。

 

(1)は、n,l,kを固定したときに、具体的にmの式を求めることができます。

 

(2)は難問です。

(1)で示した不等式で対数を取って、少しでもゴールの形へ近づけていきます。しかし、m,nとak, al の関係性を調べるのが難しいポイントです。

 

ポイントは、a(k^n) = na(k)となることを漸化式から見抜けるかどうかです。anは増加関数なので、(1)を使うと、

a(l^m-1) ≦ a(k^n) < a(l^m) ⇔ (m-1)al ≦nak < malとなるので、m,nとak, al の関係性をここから知ることができます。

 

(3)は、(2)ができていなくても解けますが、これまた考えにくい問題です。

意外に思いつきにくいですが、(2)の不等式の中辺はnに依存しない数です。はさみうちの定理を使うと、この値が0で一定になることが分かります。

 

この事実から、ak/ logkが定数になることが分かります。当初の予定通り、akが対数の形で書けることが分かりました。

 

<筆者の解答>

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第5問

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楕円の存在条件と、それにまつわる三角形の面積のグラフを描く問題です。

こちらは発想面で難しいポイントはあまりないのですが、とてもボリューミーです。

 

(1)楕円の中心を(a,b)として楕円の方程式を作り、それが(1,2)を通る条件を処理していきます。

 

(2)楕円が2つ存在する条件を詳細に調べて、面積をaの式で表現します。

このとき、|a-1|の絶対値処理が必要になるので、当然場合分けが発生します。

 

微分をするとき、絶対値とルートを同時に回避できるように、2乗してから微分するとスッキリします。

 

<筆者の解答>

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