ちょぴん先生の数学部屋

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平成の九大理系数学 -2003年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2003年の問題を取り上げます。

第1問

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パラメータ表示された曲線と、その回転体の体積を求める問題です。

 

(1)x,yをtで微分して増減を調べましょう。

 

(2)r^2*r' がr^3 /3 の微分になるので、部分積分が使えます。

 

(3)回転体の体積計算は定石通りですが、グラフの上下を気にしないといけません。(2)を使うことで積分を簡単にすることができます。

思ったのですが、なんで積分を簡単にするとこでお終いにしてるんでしょうね?どうせなら積分計算を最後までやらせればいいのに。。

 

<筆者の解答>

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第2問

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絶対値の入った領域図示の問題です。阪大でも似た問題があったような。。

 

(1) 絶対値の外し方で4通りの場合分けが発生するので、個別に調べます。

 

(2) Bは、x軸対称かつy軸対称なので、(1)のAを鏡写しにすればよいです。

 

(3) (2)からBに含まれる格子点を全て具体的に求めることができます。それぞれについて条件を満たすかをチェックします。

 

<筆者の解答>

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第3問

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放物線に含まれる正方形の個数を考える問題です。

 

(1)yの範囲をk<y<k+1(k:整数)に絞って考えると見通しが良いでしょう。

このとき、k^(1/p)と(k+1)^(1/p)の間に整数は存在しないことが分かるので、この2つの値が、

・どっちかが整数

・どっちも整数じゃない

で場合分けして調べます。いずれの場合も、k<y<k+1の範囲で、放物線と交点を持つ単位正方形が1個しかないことが分かります。

 

(2)Snは簡単に求まり、面積の大小比較からMn<Snは容易に分かります。

残りのSn<Mn +nを説明するのに、(1)が生きてきます。放物線上にある正方形たちをMnに足すと、Snを必ずはみ出します。

 

(3) (2)を使ってもできるかもしれませんが、イマイチ使い方が分からなかったので、(3)は独立に解くことにしました。

 

Lnは、直線x=l (l=0,1,2,・・・n^(1/p)の整数部分)上にある格子点の個数の合計になりますので、Lnの不等式を作って、はさみうちに持ち込みます。

 

<筆者の解答>

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第4問(a)

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2003年以前のしばらくは、第4問と第5問がそれぞれ3問ずつの選択問題というトンデモ仕様になっています。。。こういう選択問題は止めてほしい(泣)解説側の負担も増えますし、受験生側から見ても、どれを解くかの選択を2回もしなければならず、そのためには実質倍の問題文を読まないといけないという・・・選択問題なんて一切なくして皆平等に同じ問題を解かせた方がはるかにフェアだと思います。

 

第4問の(a)問題は、四面体を題材にした空間図形の問題です。ベクトルが有効に働きそうな問題です。

 

まず、3つの直角が与えられているので、座標軸を先に組んでしまうと楽になります。

 

(1)内積=0を使って処理していきましょう。

 

(2)D, G,Pの座標を求めてから、条件を満たすように逆算してQの座標を求めます。式がごつくなりますが、実質2次式を最小化する問題に帰着します。

 

<筆者の解答>

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第4問(b)

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第4問(b)問題は、複素数平面の問題です。

 

(1)z^2を成分表示の形で計算して、実部と虚部の関係式を求めましょう。

 

(2)m上の点をt,θを使って表現できるので、tを消去してyの2次方程式に帰着させましょう。複素数は、回転を掛け算で表現できるので、回転に対して強いツールです。

 

<筆者の解答>

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第4問(c)

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第4問(c)問題は、確率の問題ですが、通常高校数学で扱う離散量の確率ではなく、連続量に対する確率です。

 

(1)正方形に対する、放物線の面積の割合が求める確率になります。放物線の正の部分が正方形にすっぽり入るかはみ出してしまうかによって場合分けが発生します。

 

(2) (1)の結果を使えば難しくありません。

 

(3) (1)を使って少なくとも1回当たる確率と、当たる回数の期待値を計算します。そこから逆算してaを調べます。

 

<筆者の解答>

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第5問(a)

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第5問(a)問題は、一次変換についての問題です。

 

(1)まずQの座標をa,bで表現するのが第1ステップです。

このあと、RQ, OQを地道に計算していきましょう。最大値は、相加相乗平均の関係を使って求めることができます。

 

(2)OQ^2は、aとbの2次式になるので、どちらかの文字に注目して平方完成しましょう。そこから予選決勝法を使いますが、aとbの値の範囲に縛りがあるので、細かい場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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第5問(b)問題は、接線のなす角を考える問題です。

 

(1)接点の座標をa,bで表現して、加法定理でtanθを計算します。

実は、m1<0<m2という大小関係がなくても同じ関係式が成立します。

 

(2) (1)の式で、m1, m2をa,bの式を用いて消去します。

 

(3)θ=π/4を代入してa,bの式を整理しましょう。

 

<筆者の解答>

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第5問(c)

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第5問(c)問題は、調和級数をlogで近似する問題です。

 

(1)は、調和級数を大小評価するお馴染みの方法です。y=1/xの面積と短冊の面積とで大小比較します。

 

(2)は、Σのある式とない式でまとめて、Σの式を計算することで示せます。

 

p(n)の方は、前半で示した式で、ak = Sk, Δbk = k とするとうまくいきます。

 

(3)は、(1)と(2)をうまく使って証明しましょう。

 

<筆者の解答>

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