このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。
4回目の今回は2019年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
小問集合です。
(1)確率の問題です。
アについては、1回目で左に移動しないと1回目の時点でコインを貰ってしまいます。あとはそこからの経路を考えればよいです。
イについては、2回連続でコインを貰うことが仕様上不可能なので、2回目でコインを貰っている必要があります。
(2)線分の比を計算する図形問題です。Aを始点にしたベクトルを使って考えていけばよいでしょう。
<筆者の解答>
第2問
2つの曲線が接する条件を考える問題です。
C1の式をy=f(x), C2の式をy=g(x)として考えていきます。
(1) f''(x)まで調べて符号を調べていきます。グラフを描くにはx→±∞での極限の情報も必要です。
(2)Pのx座標をpとしたとき、f(p)=g(p)とf'(p)=g'(p)が同時に成立することから調べていきます。
(3)定型通りの積分計算ですが、f(x)を積分するところで若干工夫が必要です。S(a)の式はそこそこ複雑ですが、極限計算はさほど難しくありません。
<筆者の解答>
第3問
格子点に限定した場合の線形計画法の問題です。
k=y-xとすると、この式が直線と解釈できるので、与式の領域とこの直線が交点を持つkの最大値を基本的には考えていきます。が、今回x,yが整数に限定されているので、x,yを実数まで許した場合のkの最大値が、今回求める最大値とは限らないことに注意が必要です。
具体的には、放物線と直線の接点の「近くの格子点」を考える必要があります。
m≧2であれば、領域が放物線の頂点を含むので「直線と放物線が接する」という状況が実現できますが、m=1のときは頂点を含まないので別途検討が必要になります。この場合分けに気付けるかも大きなポイントですね。
<筆者の解答>
第4問
複素数平面に関する問題です。
(1)ベクトルと同じように考えると、w=|w|/|z|×zと書けるので、そこに|w|=1/|z|を適用すればよいです。
(2)αを具体的に調べると、△ABCは原点を中心とする正三角形になることが分かります。
なので、Pが正三角形のどの辺上にあるかで場合分けしてQの軌跡を調べていきます。
これが意外と面倒ですが、最終的には対称性の高い図形になってくれます。
<筆者の解答>