このシリーズでは、東京慈恵会医科大学の数学の問題を解いていきます。
5回目の今回は2018年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
小問集合です。
(1)確率の問題です。
条件を満たすNを全て列挙していくのですが、同じ数字のカードが複数枚存在するのが厄介なポイントです。こんなときは、同じカードを全て区別してカウントしていくのがよいです。
イを見越して、アの段階から1の位を意識して数えていきましょう。
(2) 制約条件付きの目的関数の値域を考える問題です。
制約条件の式を、絶対値を外していくと「x,yの片方は一定で、もう一方だけが動く」という状態にできるので、実質2次関数の最大最小の問題に帰着します。
<筆者の解答>
第2問
関数列の極限についての問題です。
(1)与式の積分の中身にxが入っているのが面倒なので、s=x-tと置換してxを積分から追い出してあげるとよいです。
その状態で微分すると、元の式から積分の項が綺麗に消去できます。
(2) 左辺をxで微分して増減を調べてあげればOKです。
(3) (1)の結果からfn(x)を積分を使った形で表すことができます。積分を最後まで計算しきるのは困難なので、漸化式を作ってあげるとよいです。
最終的にfn(x)の式が求まったら、(2)の結果からはさみうちを適用するのですが、(2)の使い方に工夫が必要です(いかにして「0に収束する」形にできるかが発想ポイントです)。
結果は(n+1)!となり、今回求めたx^n×e^(-x)の0~∞の積分のことを「ガンマ関数」と呼びます。ガンマ関数はいわば「階乗の一般化」に当たる概念で、この式を使うことで、nが整数でない一般の複素数に対しても「階乗」が定義できるようになります。
<筆者の解答>
第3問
多項式の割り算の余りに関する問題です。
(1)整数の割り算のmodと同じような感覚で、mod x^2を考えてあげればよいです。
(2) gn(x)=anx+bnとすると、gn+1(x)は結局f1( gn(x) )をx^2で割った余りに等しくなります。このことからan, bnの漸化式が作れるのですが、簡単に解くことは難しそうです。
こんなときは実験して一般項を予想して帰納法で証明ですね。ただ、今回の場合は一般項の予測がしにくいと思います。
直感的にanが0に収束することは予想できますが、きっちり論証するのは意外に大変ですね。
<筆者の解答>
第4問
空間ベクトルに関する問題です。正直言って、あんまりおもしろくない問題です。
(1)定義通りにRの座標を計算して、|PR|をcosθの式で表し、微分で増減を調べます。
(2) (1)の結果を使って改めてP, Q, Rを計算して、PRの中点Nを求め、そこからMの座標を求め、公式代入で面積を計算する、という一本道ですね。
<筆者の解答>