東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、名古屋大学の2002年の問題を取り上げます。
第1問
ほとんど近い2つの数の大小関係を調べる問題です。
(1)は差を取ってできる関数を微分して増減を調べることで調べます。
(2)はF(x) = (1 + 1/x)^xの増減を知る必要があります。
このままでは微分できないので、対数を取ってから微分しましょう。すると(1)の関数が顔を出します。
<筆者の解答>
第2問
楕円と円の包含関係を考察する問題です。
(1)は教科書レベルの基本問題です。残念ながらあまり(2)には結び付きません。。。
(2)楕円の境界上にある点全てが円に収まっていればよいので、
Dの境界上の点(acosθ+1-a, bsinθ) が、全てのθに対して (acosθ+1-a)^2 + (bsinθ)^2 ≦1となるa,bの条件を求めることになります。
その際、aとbの大小による場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第3問
積分を使った漸化式の問題です。(2)が難問です。
(1)は帰納法により証明できます。
(2)は正直捨て問レベルだと思います。大学数学の触りを知っていないと、何をすればよいかすら覚束ないと思います。
何をすればよいかというと、隣り合った項の差、am- am+1が0より大きくなってしまうと、amが-∞に飛んでしまい矛盾する という論法になります。
am- am+1を考察するために、F(x) = x -∫f(t)dt の増減を調べます。すると、これが単調増加となるので、
もし、anが常に1/2002以上だと仮定すると、am- am+1 =F(am) ≧ F(1/2002)>0となり、
この不等式を繰り返し使うと、am ≦1- (m-1)F(1/2002) となるので、amが-∞に飛んでしまいます。これは(1)と矛盾する。となります。
この話の流れから分かる通り、別に1/2002である必要はなく、正の実数なら何でもOKです。どんな正の数をとってきても、それをamが下回るようにmをとれる・・分かりやすく言い換えるとamは0に限りなく近づき続けることがわかります。大学数学で習う、ε-δ論法の進め方です。
この論法を、ε-δ論法を知らない一般高校生に思いつけというのは無理な話でしょう。
<筆者の解答>
第4問(a)
第4問は例によって選択問題となっており、今回は(a)を選ぶことをオススメします。
(a)は整数問題です。
この手の問題では、等しいものを文字で置くというのが基本的な考え方になります。
今回の場合は、対数を取れば、alogx=blogy=clogz = loga +logb +logc =kと置くことができるので、これを使ってx,y,zを消去してあげましょう。
すると、1/a+1/b+1/c=1 を満たす自然数a,b,cを求めるという、整数問題の典型問題に化けます。
a,b,cの大小関係から、a≦3に絞られるので、a=1,2,3について個別に調べていきましょう。
<筆者の解答>
第4問(b)
(b)問題は、複素数平面の問題です。
(1)は、両辺2乗するとz=z* が求まります。
(2)z+i = t+i (t:実数)と書けるので、偏角のtanはtanθ=1/tと書けます。
(3)w=z+iの偏角が知りたいので、方程式をwの表記で統一して考えます。
すると、1-2i/wが1の9乗根となるので、具体的な式を求めることができ、そこから偏角を計算することができます。
<筆者の解答>