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平成の名古屋大理系数学 -2001年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、名古屋大学の2001年の問題を取り上げます。

第1問

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不等式証明の問題です。

 

微分での処理が難しいので、図形的な考察を考えます。y=log(logx)のグラフの傾きの大小関係を調べることがポイントになります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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絶対値付きの積分を計算する問題です。

 

当然絶対値を外さないといけないので、tとxの大小関係を考える必要があります。

 

ここで、tの範囲は0<t<πなので、0<x<πのときと、π<x<2πのときとで大きく状況が変わることが分かります。前者は、tとxの大小がひっくり返る可能性がありますが、後者は可能性がありません。

 

<筆者の解答>

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第3問

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三角形の外心に関する問題です。

 

(1)OA'を、OA上にある、BC上にあるという2つの条件により2通りに表すことができます。これと、与えられた等式を使って求めていきます。

 

(2)OB'とOC'も(1)と同様に求めることができます。

Oが△ABCの外心かつ、△A'B'C'の外心なら、|OA|=|OB|=|OC|かつ、|OA'|=|OB'|=|OC'|を満たします。

 

<筆者の解答>

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第4問(a)

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第4問は選択問題で、難易度は同等だと思います。

(a)問題は、複素数の一風変わった問題です。

 

(1)1の6乗根となる6つの複素数のうち、-1を除いた5種類が、それぞれa,b,c,d,e個含まれるとしてz1+・・・+znを計算します。ここで、-1/2±i√3/2が含まれていないと改定するとz1+・・・+zn=0になりえないことを示しましょう。

 

(2)1と-1/2±i√3/2が少なくとも1個ずつあることが確定したので、残りの2つが何個入っているかを調べます。

 

最後は、求まった組み合わせの並べ方を計算すればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問(b)

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(b)問題は、ランダムウォークを題材にした確率の問題です。ただし、-1,3についたら終了するという特殊な条件が付いています。

 

全体通じて、一度も-1,3につくことなくk回目に0,1,2のどれかにいる確率Qk(x=0,1,2)を考えることがカギになります。

 

(1)Qk(x=0,1,2)の漸化式を立てて解くことになります。一個飛びの漸化式となるので、kの偶奇による場合分けが発生します。

 

(2) (1)で0,1,2にいる確率は求まったので、残りの-1,3にいる確率を考えます。

 

-1にいるのは、直前に0にいて左に動くか、直前も-1にいる場合です。よって、l回目に初めて0から-1に移動する確率を計算して、それを足せばよいことになります。

 

3にいる確率は、全体から-1,0,1,2にいる確率を引き算して求めることができます。

 

kの偶奇に注意して期待値計算しましょう。

 

<筆者の解答>

 

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