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平成の九大理系数学 -2001年-

大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、九州大学の2001年の問題を取り上げます。

第1問

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3次関数の増減に関する問題です。

 

(1)3次関数が単調になる条件は、微分=0が実数解を持たないか重解を持つことです。

 

(2)(3) x>-1以降で単調増加になる条件は、(1)に加えて、2つの実数解を持つにしても、2つとも-1以下になっていることです。

 

<筆者の解答>

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第2問

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3次関数のグラフの性質に関する問題です。抽象度が高く難しいでしょう。

 

(1)は簡単です。中点が(p,q)になればよいわけです。

 

(2)は、半ば知識問題です。3次関数のグラフは、変曲点について点対称になります。なので、変曲点を求めて、そこについて点対称になっていることを説明しましょう。

 

(3)はよくある問題です。中点と傾きの情報から求めることができます。

 

(4)が難問です。

もし、条件を満たすm,nが存在したとすると、3次関数上にある点(X, Y)について対称な点(X'', Y'')が常に3次関数上にあることになります。

これによりX,Yの恒等式が立ちますが、これが元の3次関数の式と一致しないという矛盾を導きます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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体積を計算する問題です。誘導が丁寧なので、乗っていきましょう。

 

(1)断面を指定してくれているので、ありがたく使わせていただきましょう。断面を書いて断面積を計算します。

 

(2) (1)の断面積を積分します。

 

(3) (2)の結果の増減を考えます。

 

<筆者の解答>

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第4問(a)

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複素数平面の問題です。

 

(1)は有名です。|z+〇|^2の形を作ることができます。

 

(2)dが実数か否かで場合分けが発生します。

dが実数の時は直線、dが虚数の時は(1)に帰着できます。

 

<筆者の解答>

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第4問(b)

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サイコロの出た目を小さい順に並べる確率の問題です。

 

(1)条件を満たす数字の並びをすべて列挙しましょう。

 

(2)(3)X1は、出た目の最小値なので、最小値がkとなる確率を計算しましょう。

 

(4)の極限は、(3)ができていれば難しくありません。

 

(5) (3)と同様にE[Xn]も計算します。Xnは出た目の最大値になります。

これを使うと、E[X1+Xn] = E[X1]+E[Xn]で求まります。

(※厳密には、これはX1とXnが独立な確率変数の時に成立します。今回は証明は省きますが、独立な確率変数になっています)

 

 

<筆者の解答>

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第4問(c)※都合により省略

 

第5問(a)

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下に凸な曲線の接線のなす角に関する問題です。京大にも似たような過去問が出題されています。

 

(1)tanθ=f'(t)となるので明らかでしょう。

 

(2)方程式で処理するより、図形的に求めたほうが遥かに楽です。

 

(3)曲線の長さの公式に当てはめて考えます。ここで、(dα/dt)^2 + (dβ/dt)^2がきれいに計算できることに気付けないと厳しいです。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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極限の問題です。

 

(1)はよくある問題で、微分を繰り返して増減を調べます。極限の証明は、前半のf(x)の不等式から簡単に分かります。

 

(2)g(x)の積分とKnをあらかじめ計算しておきます。すると、(1)の極限の情報を使って、nを何回かければ、求める極限がうまく求まるかを吟味していくことになります。

 

<筆者の解答>

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第5問(c)

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連立方程式の解に関する問題です。

 

(1)は教科書レベルの基本問題です。

 

(2) (1)を使うとx,yを求めることができます。分数2,3がそれぞれ登場するので、分子が偶数、3の倍数などと考えていくことになります。

 

(3)(4)  (2)のx,yの式から、p,qがともに6の倍数ならx,yが整数になります。

 

<筆者の解答>

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