東大京大に引き続き、他の旧帝大の問題も取り上げていきます。この記事では、北海道大学の1996年の問題を取り上げます。
第1問
コインの裏表に応じた得点の推移を考える確率の問題です。(1)(2)は標準的な問題ですが、(3)は北大史上最強の難問と言えます。背景には「カタラン数」という概念があります。
(1)3回で+1点になるのは、表が2回、裏が1回になる場合です。
(2)表がa回、裏がb回になる時の得点を考えてみましょう。
(3)は前述のように超難問です。
得点が2mになる途中の段階で、コインの出方次第ではBが逆転する可能性があるので、Aが勝ち続ける出方をきちんと考える必要があります。
これは、表の出る回数を横軸に、裏の出る回数を縦軸にとったときに、座標(0,0)の点から座標(a,b)の点に最短経路で移動していく経路を考えることで考察することができます。このような経路のうち、直線y=xに一度も触れない経路数が、考えるべき経路数になります。
実は、こうした問題のアプローチは、九州大2002年第4問(c)にて出題されています。
その骨子は、y=xを少なくとも一回通る経路を考えるもので、y=xを始めて通る点(a,a)以降は直線y=xで折り返して考える というものです。
この手の問題は出題例が少なく、誘導付きだった九州大ですら難問だったのに、誘導なしで出題されたのですから、、、相当な難問です。
この(3)を完答できた受験生は、ごく少数だったと思われます。
<筆者の解答>
第2問
微分方程式の問題です。
先に問題文の条件を処理してf(x)の一般形を求めてしまいましょう。
(1) f(0)=1で積分定数を確定させます。
(2) 接点がx=pのとき、h(x)=x^2 -4 とすると、f(p)=h(p)かつf'(p)=h'(p)となります。
<筆者の解答>
第3問
関数の取りうる値を考える問題です。
(1)wの分母がOAとOPの内積になっていることはすぐに分かります。一方、ay-bxは、面積に該当するものになります。
(2)一見何をすればよいか分かりにくいですが、余弦定理を使って0<AP≦kを処理すると、θを含まないきれいな式になります。
あとは、(1)を使って図形的な考察を踏まえて解いていきましょう。
<筆者の解答>
第4問
不等式証明と、命題の真偽判定の問題です。
(1)は、問題文通りに帰納法で証明しましょう。
(2)は、一瞬(1)がそのまま反例になるんじゃ?と思いますが、an+1 -anがうまく0に収束することを示せないので、これをそのまま反例として持ってくるのは難しいです。
とはいえ、参考にはなっていて、an= 1/n が反例になるんじゃ?と思いつきます。
Σ1/nが発散することは、調和級数としてお馴染みの話ですね。
<筆者の解答>
第5問
絶対値付きの積分の最小化をする問題です。
絶対値を外す必要がありますが、aの値によって、絶対値の外れ方が変わることに注意しましょう。
<筆者の解答>