ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋数学 2016年

文系数学の最難関、一橋大学の2016年の問題を取り上げます。

第1問

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指数を使った方程式を解く問題です。

 

指数の底が互いに素なので、2次方程式に帰着、、みたいな方法が使えません。

 

ところで、左辺の指数の底は27, 右辺の指数の底は25となっているので、xが十分大きい時は左辺の方が大きくなります。

 

よって、xが小さい数の時に実際に代入してみて、xがある値以上の時に左辺>右辺となることを数学的帰納法で証明すればOKです。

 

<筆者の解答>

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第2問

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数列の問題です。

 

anの一般項の式から、少なくともa3 = cos2θとなっていないといけません。まずはこれを満たすcosθを求めてしまいましょう。

 

上で求まった各候補について、an=cos(n-1)θになっているかどうかを確認しましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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確率の問題です。

 

ルールから、コインの状態は、「表2枚」「裏2枚」「表1枚・裏1枚」の3つしかないので、各状態の移り方を考えて漸化式を立てればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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3次関数の最大値についての問題です。

 

y=f(x)の形状によって状況が変わるので丁寧に場合分けしましょう。

場合分けのパターンは以下の3つです。

1. f(x)が極値を持たないとき

2, f(x)が極値を持つが、定義域の外側にある時

3. f(x)が極値を持ち、定義域の内側にある時

 

<筆者の解答>

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第5問(a)

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ベクトルの大きさの比の取りうる値の範囲を調べる問題です。

 

まず、大きさのままだと如何ともしがたいので、とりあえず2乗して、右辺を|a|と|b|の式で表現しましょう。分子と分母がともに、|a|と|b|の2次式になっているので、x=|b|/|a|とおいて文字を1文字にすると見通しが良いです。

 

ここで、理系の受験生なら思考停止で微分して処理すると思いますが、文系の範囲では、分数関数の微分は使えません。なんとか微分を使わずに解きたいです。。。とはいえ、伝家の宝刀、相加相乗平均も使えなさそうです。

 

ここで、発想の仕方を変えてみましょう。都合の悪いrを持ってくると、xが正の実数で取れなくなってしまいます。何が言いたいかと言えば、出てきた式をxの2次方程式にして、「これが正の実数解を持つようなrの条件を求める」と問題の解釈を変えてしまうわけです。

 

こうすれば、よくある2次方程式の解の配置問題になります。

 

<筆者の解答>

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第5問(b)

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統計の問題です。

 

(1)は素直に式計算をするだけです。

 

(2)相関係数を計算するには、Xの標準偏差、Yの標準偏差、X,Yの共分散の3つの数値が必要です。それぞれを地道に計算しましょう。共分散の計算に(1)の式を使うことができます。

 

(3) (2)の答えでxをx+2に変えても値が変わらないので、xの方程式をひたすら解いていきます。

 

<筆者の解答>

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