ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の一橋数学 2013年

文系数学の最難関、一橋大学の2013年の問題を取り上げます。

第1問

f:id:stchopin:20200808225909p:plain

整数問題です。

 

左辺の形から、因数分解を利用するタイプだと想像がつきます。実際、左辺はp+qで因数分解することができて、結果p+qが2013の正の約数だと分かります。

 

2013= 3×11×61なので、正の約数の個数は高々8通りで、p+qとして絶対にありえない1を除けば、p+qの候補は7つになります。

 

最悪、7通りを虱潰しに調べればよいのですが、その場合、2013の2乗なんて計算をしなければいけなくなるので大変になりそうです。もっと楽したいですよね。

 

ここで、p+qの相方になる3p^2 - 4pq +3q^2の方が、p+qよりも明らかに大きそうです。これを平方完成を使って証明できれば、p+qの候補を、3,11,33の3つに絞ることができます。

 

3つまで絞れば、登場する数値も小さくできたので、総当たりで調べられます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200809144847p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20200808225927p:plain

三角形の面積の最大値を求める問題です。

 

内積の情報から、∠BOCが60°と求まります。このままでは面積を考えにくいので、座標を設定するとよいでしょう。

 

すると、辺BCが固定されていて、Aが原点中心半径4の円周上を動くとき、△ABCの最大値はいくらになるか?と問題を言い換えられます。

 

これは、辺BCと点Aの距離が一番離れる瞬間はどこか?を考えればよいことになります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200809144908p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20200808225951p:plain

放物線と2本の線分で囲まれた面積を考える問題です。

 

(1)がこの問題最大の鬼門です。P, Qの位置関係によって、9通りもの場合分けをしないといけません。結果としては、全ての場合について同じ式になるのですが、あくまで結果論です。1つずつ丁寧にやりましょう。

 

(2)(3)は、(1)さえできていれば容易です。(2)は平方完成、(3)は相加相乗平均を使って処理できます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200809144929p:plain

f:id:stchopin:20200809144948p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20200808230013p:plain

 

点の軌跡と距離の最大値を考える問題です。

 

とりあえずPの軌跡を調べないことにはどうにもならないので、OPベクトル=(x,y,z)として、x,y,zの関係式を調べましょう。すると、tが固定されているとき、Pは球面上にあることが分かります。よって、OPが最大になるのは、OPがその球面の直径になっているときだと分かります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200809145013p:plain

 

第5問

f:id:stchopin:20200808230032p:plain

 

確率の問題です。

 

ここでいうsnは、サイコロの出た目を左から順番に並べてできる整数になります。

 

(1) snが4の倍数になる必要十分条件は、下2桁が4の倍数になること、つまり10an-1 +anが4の倍数となることです。n=1のときだけ例外扱いです。

 

(2) snが6の倍数となる必要十分条件は、snが3の倍数かつ偶数であること、言い換えれば、anが偶数かつa1+・・+anが3の倍数になることです。

よって、a1+・・+anを3で割った余りによって確率漸化式を立てて解くことになります。

 

(3)7の倍数か否かを判断する方法はメジャーではありませんので、sn-1を7で割った余りを考えましょう。sn-1を7で割った余りが0以外の何であっても、snを7の倍数にするanが1対1対応で存在しています。このことを利用して漸化式を立てましょう。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20200809145034p:plain

f:id:stchopin:20200809145052p:plain