ちょぴん先生の数学部屋

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平成の一橋数学 1990年

文系数学の最難関、一橋大学の1990年の問題を取り上げます。

第1問

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直角三角形を題材にした整数問題です。

 

斜辺の長さをa, 残りの2つの長さをb,cとすると、面積はS=bc/2なので、bcが4の倍数なことを示せればよいわけです。

 

ピタゴラスの定理からa^2 = b^2 +c^2 とかけます。このとき、平方数を4で割った余りが0か1になるという性質から、bとcの少なくとも一方が偶数になることが分かります。

しかし、これだけではbcが4で割り切れるとは限りません。

 

ということで、ここはさらに推し進めて、平方数を8で割った余りを考えてみましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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三角比に関する問題です。

 

∠C=θとすると、∠B=120°-θとなるので、(1)(2)ともにθだけの式にできます。合成を駆使して最大最小を考えましょう。このとき、θの取りうる値の範囲に注意しましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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双曲線と放物線で挟まれた領域についての問題です。

 

(1) 双曲線と放物線の交点を調べてMを図示して考えます。

 

(2)直線x=k上にある格子点を順番に数えましょう。

 

<筆者の解答>

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第4問

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点の存在条件を考える問題です。

 

問題文を解釈すれば、要するに、A中心の円、B中心の円、C中心の円の3つの円が1点で交わるようなcの条件を出す問題です。

 

中心がはっきりしている前者2つの円が交点を持ち、さらに3つめの円がその交点を通ればよいわけです。

 

<筆者の解答>

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第5問

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三角柱の断面を考える問題です。これは中々難しいです。

 

(1)まずは切り口の形状が分からないことにはどうにもなりませんので、これを調べましょう。

 

三角錐の6つの頂点がx+y+z=3の上にあるか下にあるかは簡単に調べられるので、これを使うとどの辺が平面と交わるかが分かります。これら交点を具体的に調べましょう。

 

断面が求まっても簡単に面積が計算できる形をしていないので、ベクトルの公式を使うほかありません。

 

(2) これまた立体の形状が複雑で直接体積を計算するのが難しいです。ここは、座標平面とx+y+z=3からできる三角錐から、3隅の三角錐をくり抜く、という戦略で考えてみましょう。

 

<筆者の解答>

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