ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の早稲田理工数学 2006年

私立最難関の一角、早稲田大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2006年です。

 第1問

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ネイピア数の「テイラー展開」に関する問題です。

 

(1)(2)はともに数学的帰納法で考えます。

 

(3) (2)の結果を利用してはさみうちの定理を適用します。

 

(3)はx=1に限らずどんなxに対しても fn(x)→0 となるので、

最終的に、e^xがΣx^n/n! と書けることが分かります。

 

こうした、関数を多項式の無限和で表すことを「テイラー展開」と呼びます。

 

<筆者の解答>

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 第2問

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3次方程式の解に関する問題です。

 

(1) Pn(x)の形状を調べます。この問題ではy切片が負になっているので、x>0で極小になっていれば題意が示せます。

 

(2)代入してひたすら計算です。後の設問を考えると、答えは予想できるので慎重に行いましょう。

 

(3) 予想通りに、-4/(t+2)はPn(x) = 0の解になっていることが分かるので、もう一つの解も形が分かります。

こうして求まる3つの解の大小関係によって場合分けして調べましょう。

 

<筆者の解答>

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 第3問

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数列の問題で、発想力の必要な難問です。

 

(1)は、大小関係によってbnが変化することに着目して、a2n+3, a2n+2, a2n+1, a2n の大小関係を場合分けして調べましょう。(1)を後回しにして(2)を先に解いた方が得策だと思います。

 

(2) (1)の結果から、全てのanが正だとするとbnは狭義単調減少します。するとbnがどこまでも小さくなっていきいずれは負になってしまいます。

しかし、anの定義からbnはつねに0以上なので矛盾します。

このような手法を「無限降下法」と呼びます。

 

<筆者の解答>

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 第4問

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点の移動を考える確率の問題です。

 

(1)(2) 2回移動した後の点の座標を丁寧に調べましょう。特に、(2)の場合は、OAの向きにも依存するので注意が必要です。

 

(3) 2次関数の最大最小なのですが、全体に絶対値がついているので、端点の値と頂点の値の大小関係の注意が必要です。

 

<筆者の解答>

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 第5問

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線分の通過領域を考える問題です。

 

(1)(2) P(4cosα, 0), Q(0, 4sinα) (0≦α≦π/3)と書けることから、直線PQの方程式が求まります。そして、これが(s,y)を通るから最終的に、

y= -stanα + 4sinα

となります。このyの最大値こそがtです。sの値によって場合分けして、αを動かしたときのyの最大値を考えましょう。

 

(3) xの範囲によってFを表す条件式が変化することに注意しSを積分で求めましょう。とはいえ、その積分はかなり大変ですが。。

 

<筆者の解答>

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