ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

ヨビノリさんからの挑戦状 ~数学夏祭り 第5問~

ヨビノリさんの企画、「数学夏祭り」に参加しております。

本日9/4に出題された、第5問はこちら、

f:id:stchopin:20200904175101p:plain

k乗Σの式を使った極限の問題ですね。早速やっていきましょう。

(筆者の解答時間は40分でした。初めて1時間を切りました。。。)

 

筆者の解答

f:id:stchopin:20200904175318p:plain

f:id:stchopin:20200904175349p:plain

難易度は今までの最高レベル★8つ なんだそうですが、私にとっては、正直これまでの5問中、一番簡単な問題でした。。正直なところ、今年の東工大の第5問(https://stchopin.hatenablog.com/entry/2020/03/01/231751 )の方が遥かに難しいですね。

 

まず、注目すべきはanの形です。79乗のΣの式になっていますね。

 

高校では、1乗のΣと2乗のΣ(+余力あれば3乗のΣ)は暗記すべき公式として習いますが、79乗なんて知らんがな!となると思います。

 

とはいえ、実は1乗のΣさえ覚えておけば、2乗のΣ、3乗のΣ、4乗のΣと順繰りに導出することができます。(2乗のΣは、教科書にもこの導出が書いてあるはずです)

 

その方法は、「L乗のΣを求めたいなら、(k+1)^(L+1) - k^(L+1) を計算せよ!!」です。

 

例えば、2乗のΣを計算したいときは、(k+1)^3 - k^3 を計算することが肝要になります。

この場合、(k+1)^3 - k^3  = 3k^2 +3k +1はkの2次式であり、kに1,2,・・・,nを順番に入れて足していくと、

左辺については、途中の項がすべて相殺されて、(n+1)^3 -1 となり、

右辺については、3×(2乗のΣ) + 3×(1乗のΣ)+n となりますので、

 

1乗のΣが分かっていれば、2乗のΣを求めることができるわけです。

 

同様に考えれば、L乗のΣの公式が計算できることになります。

 

このとき、大事な事実が分かります。それは、

「L乗のΣの公式は、nのL+1次多項式になる」ということです。このことは、上の方法を使えば、数学的帰納法で示すことができます。

 

この事実が分かったら、Kを求めるお膳立てをしましょう。

 

79乗のΣの公式は、nの80次多項式で書けるので、

 

79乗のΣ = a×n^80 + b×n^79 + (78次以下の多項式) と書けます。

後のことを考えたときに、80次の係数a, 79次の係数bが分かれば十分で、78次以下は無視して大丈夫なことが分かります。

 

これを使うと、

an = a +b/n + (-2乗以下の分数式)

となります。これでnを無限大に飛ばせば、

α = a

がわかり、

n (α - an) = n(a- a- b/n - (-2乗以下の分数式))=-b + (-1乗以下の分数式)

となるから、

K = -b

と求まります。

 

ここまでの議論から、Kを知りたければ、79乗のΣの公式の、79次の係数bが分かれば十分だと分かります。よって、ここからはbを求めることに終始します。

 

あとは、前半の帰納法の場面で使った、L乗のΣを表す漸化式を使ってbを調べていけばよいでしょう。2項定理などを駆使して調べてください。

 

以上から、

K = -1/2

- [200K] = 100

と求まりました!!

 

この手の極限の計算に慣れている人であれば、さほど難しくなく解けるのではと感じます。とはいえ客観的には、旧帝大の難問以上、京大の特色入試未満、くらいの難易度はあるのではと思います。