ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2013年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2013年の問題です。

第1問

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2次曲線を回転させる問題です。大学で線形代数を勉強すると、これをノーヒントで解くことになりますが、この問題では誘導が丁寧なので、うまく乗っていきましょう。

 

(ア)~(ウ)の一連の作業は、「行列の対角化」と呼ばれる作業で、行列を「回転行列と対角行列の積」で表す作業です。この対角化を使うと、(エ)(オ)のように曲線を分かりやすい楕円に書き換えることができます。

行列の積を問題文の通りに計算して、θ,α,βの連立方程式を解くことになります。

 

(カ)以降は、Cが分かりやすい楕円に化けているので、こちらで検討したほうが早く、最終的に逆回転して元に戻してあげれば(キ)(ク)が求まります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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複数の直線に関する問題です。

 

前半( (シ)まで)については、直線の式を出す、交点の座標を出す、図を描いて面積S1を計算する、S1を微分するという作業で比較的簡単に解くことができます。

 

後半( (ス)以降)については、円の中心と直線との距離の関係からl2の式を求めてS2を計算するところまではいいのですが、これの微分は工夫して進めないとえらく複雑なものになります。

0になりえないところをできる限り除外して 微分=0を解き進めましょう。これによって最小値の候補がそろうので、あとは個別に値を調べればよいでしょう。

(増減表を書くのが大変なので。。)

 

<筆者の解答>

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第3問

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まさかの第3問が小問集合です!!が、1問1問が1個分の大問レベルのボリュームがあるので、実質大問2つ分と言えます。

 

(1)経路数を数える問題ですが、これは中々難しいです。

ルールをよく読むと、点は一方通行にしか動けないので、横移動に関してはどの点間の移動も経路は1通りしかありません。よって、xのどこで上の階に上がるかだけを気にすればよいわけです。(タ)で使った考え方を使って、停止する点ごとに経路数を調べ上げていきます。

(ツ)については、(1,2)を通る経路を直接数える方法と、通らない経路を数える方法の2択がありどちらでも行けると思いますが、答案では後者を採用しています。

 

(2)絶対値付きの関数に関する問題で、2種類の絶対値を順番に外していくほかありません。

すると計4種類の関数の形ができますが、aの値によってある区間が潰れたり残ったりしてf(x)全体の形状が変わるので、個別に検討します。

 

<筆者の解答>

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第4問

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曲線を斜め線を軸に回転した立体の体積を求める問題です。

 

(1)見た目こそ変わってはいますが、実質よくある直線と放物線との交点を求める問題です。

 

(2) Qのx座標が求まれば、lの傾きが-1なので、PQの長さは、√2 × (PとQのx座標の差)で求まります。

 

(3) π×PQ^2を「rで」積分すれば体積です。積分の方向は、あくまで回転軸の向きです。

 

<筆者の解答>

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第5問

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複素数の数列に関する問題です。

 

(1)数学的帰納法により証明します。

 

(2) 実質r^nの収束性に注目すればOKです。

 

(3) xn, ynを求めてから級数を取る方法と、z^nのまま級数を計算する方法の2択ですが、後者の方が圧倒的に楽です!!(前者は別解にて紹介してます)

 

zの絶対値が1未満なので、実数の等比数列で使った無限級数の式がそのまま適用できます。よってz^nの無限級数を先に計算すれば、その実部が(ハ), 虚部が(ヒ)と求まります。

 

別解の方はxn, ynの式を先に調べる方法ですが、nを6で割った余りによる場合分けが必要で、無限級数をいくつも計算しないといけなくてミスが発生しやすいです。

 

<筆者の解答>

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