ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応理工数学 2011年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。今回は2011年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)積分の計算問題です。a乗というわけのわからん関数の中に1-x/aというこれまた複雑な関数が入っているので、t=1-x/aと置換して、厄介な部分を2乗の部分に押し付けてしまいましょう。

 

(2)直線についての対称移動という頻出の問題です。移動先が(x', y')だとすると、(x,y)との中点がy=kx上にあり、2点の傾きが-1/k (k≠0のとき)という2条件を考えればよいでしょう。k=0のケースは別に考えます。

 

(3) 特殊な数列に関する問題です。(キ)までは、ルール通りに計算するだけです。(ク)については、等しい比をkと文字で置くのが鉄板です。そのもとで、a1-b1と b1-c1の大小で場合分けして調べていきましょう。

 

<筆者の解答>

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第2問

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4次方程式に関する問題です。

 

(1) kがついているものとkがついていないもので分けるとうまく因数分解できます。kと無関係な解を除くと3次方程式ができますが、3次方程式は最低1個は実数解を持ちます。ということは、問題文を満たすためには、この3次方程式も、最初に求めたkと無関係な解と同じ解だけ持てばよいわけです。

 

(2) f(x)を微分して増減表を書きましょう。極小値の計算が面倒ですが、次数下げをうまく利用するとよいでしょう。

 

(3) (1)で考えた3次方程式の解の個数を実質考えることになります。この手の問題は、

k= (xの関数)と変形して、右辺のグラフを調べるのが最も楽に解く方法です。

(セ)以降は、解と係数の関係を利用して求めていきます。

 

<筆者の解答>

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第3問

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点の軌跡と面積を考える問題です。

 

前半: (ナ)まで

OR = rOP +(1-r)OQ と書けるので、このz座標が0になることからrを決めます。これによってRの座標が求まるので、θを消去すればRの軌跡が求まります。x座標とy座標の範囲をきっちり調べておきましょう。

 

後半: (ニ)以降

-45°回転させる行列を使うと、曲線を回転した式を求めることができます。その後の積分はあまり難しくありません。

ちなみに、-45°回転せずとも、∫√(x^2 +1) dx の計算さえできれば面積を計算できるのですが、この積分が非常に厄介なので、わざわざ-45°回転させて積分計算を簡単にしていたというのが、この問題設定です。

 

余談ですが、先の積分は、∫√(x^2 +1) dx =1/2 { x√(x^2+1) +log (x+ √(x^2+1) }+ C というかなり複雑な形になります。これを覚えていれば、面積計算は瞬殺なのですが、覚えている人がいるわけもなく。。。

 

<筆者の解答>

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第4問

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確率の問題です。

 

(1)ルールを理解すれば、「白がDへ+赤がEへ」か「「白がEへ+赤がDへ」が起こればよいことが分かります。

 

(2) 玉の配置は、「状態S: 隣り合っている」「状態T: 隣り合っていない」の2択しかありません。なので、両者の移りあい方を考えましょう。

 

(3) n回目に初めてSになるとき、n-1回までTが続いてn回目にSになればよいです。期待値は公式通りに計算しますが、r回経ってもSにならない場合を別に足す必要があります。

 

<筆者の解答>

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第5問

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立体図形の問題です。

 

(1) PQ・AGが0になることを利用します。

 

(2)Pからlに下した垂線の足はQそのものです。Pの存在範囲の条件からtの範囲が決まるので、これを手掛かりに考えましょう。

 

(3)AGの長さは簡単に分かるので、PQを計算すれば△APGの面積を計算できます。

PQは計算するとθの式になりますが、微分しても最大最小がうまく調べられません。ここは発想が必要なのですが、T=sinθ-cosθと変換するとうまくいきます。

 

<筆者の解答>

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