ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の慶応医学部数学 2013年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2013年の問題です。

第1問

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小問集合です。

 

(1)三角関数の方程式を解く問題です。両辺を2乗してもう1つの方程式を作って連立するとよいでしょう。

 

(2)指数関数の方程式です。対数を取ってx,yを求めましょう。

 

(3)空間内の平面と法線についての問題です

(ⅰ) A, B, Cを通る平面Lの式を求めればLの法線ベクトルがわかるので、OPをパラメータ1個で表現できます。あとはPがL上にある条件を使います。

(ⅱ) (ⅰ)の結果から瞬殺です。

(ⅲ) OP= (1-q)OA + qOB と書けるようなzを求めてqを決めます。

 

<筆者の解答>

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第2問

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確率の問題です。最初に袋の中身の状態の移り方を調べておきましょう。

 

(1) 状態の移り方を調べれば分かります。

 

(2) 漸化式を作って解きます。

 

(3) En = 3an + 2bn + cn と書けるのですが、(2)で作った漸化式を1つ1つ解いてan, bn, cnを出すのはかなり大変です。ここは、Enの漸化式を作るとスッキリします。

 

<筆者の解答>

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第3問

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上三角行列に関する問題です。

 

(1)まずはA^2, A^3を素直に計算してみます。すると、成分の規則性が予測できるので帰納法で証明します。a=cか否かで場合分けが発生します。

 

(2)行列の存在条件を調べるのですが、場合分けが面倒な問題です。まずはX^3 = Aで成分比較をするのですが、bの式が明らかに仲間外れで、かつbの式が積の形になっているので、bが0か否かの場合分けがまずあるのではと予想できます。ただ、それぞれの場合分けの中でさらに場合分けが発生するので、それぞれ考える必要があります。

 

(3)k^3 -3l <0 のときf(x)は単調増加の3次関数になるので、全ての実数aについてf(x)=aとなるxがただ1つ必ず存在します。

そのことに注意して、(2)と同様に場合分けして成分比較します。

 

<筆者の解答>

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第4問

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複雑な関数で書かれる曲線に関する問題です。x=の形で書かれているのが少々いやらしいです。。

 

(1) 概形を描く問題で、どこまで情報を調べるかが悩みどころですが、個人的には、

Must: 一回微分(増減)、定義域端部の振る舞い(極限含む)

Want: 2回微分(凹凸)

だと思ってます。凹凸は1回微分の式が簡単であれば調べるといった感じです。今回の場合は、f'(y)の式が大分スッキリするのでf''(y)まで計算しようという気にはなります。

 

(2)接線の式を求めるのですが、普段とx,yが逆になることに要注意です。

 

(3) 公式通りに積分を行います。

 

(4) (2)と同様にα、βを求めて微分を計算します。この情報をもとにg'(t)を調べればよいでしょう。

 

<筆者の解答>

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