私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。今回は2011年の問題です。
第1問
小問集合です。
(1)多項式の割り算に関する問題です。f(x)がx-αで割り切れるときにf(α)=0が成り立つという「因数定理」を利用して解きます。(x-α)^2で割り切れるときは、f'(α) = 0も成立します。
(2)行列の計算問題です。BCを計算しAと成分比較をすると、4つの未知数に対して4つの独立した方程式が立つので解くことができます。
(3)2次曲線に関する問題です。平方完成をすると、双曲線を平行移動したものだとわかります。よって、平行移動する前の焦点と漸近線を考えて、それを同じだけ平行移動すればよいです。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題ですが、集合の用語で書かれており解読が面倒です。
(1) 要するに「1が少なくとも1回出る」または「2が少なくとも1回出る」確率です。
(2) 「1か2しか出ない」または「1か3しか出ない」確率です。
(3) aとbという2つの数字だけが引かれる確率を考えます。まずはa,bを固定して考え、後でa,bの選び方を考えます。
(4) これの解読が特に難しいです。ベン図を描いて考えてみると、「Aの一部にnとn-1が2つとも含まれている」と同じ意味なことが分かるので、余事象、「nが引かれない」または「n-1が引かれない」確率を考えます。
(5) 「k以下だけ引かれる確率」ー「k-1以下だけ引かれる確率」で計算できます。
(6) Bの要素の最大値が2^kになる確率が(5)で求めたpkなので、公式通りに期待値を計算します。
<筆者の解答>
第3問
四角形に外接する円と内接する円に関する問題です。
(1)
(い)まで
正弦定理を利用してRを求めます。Rの最大値は微分でも求まるとは思いますが、相加相乗平均の関係を使ったほうが遥かに楽です。
(う)まで
円に内接する四角形は、対角の和が180°になるという性質があるので∠B+∠D=180°が成り立ちます。
(2)内接円の半径は、面積と外周を使って計算します。
(3)
(お)まで
ある点から円へ接線を引いた時、その点と接点までの距離は等しいです。この性質を使ってADを求めましょう。
(か)まで
2つの三角形の和として考えれば四角形の面積が出ます。△ABCは(2)で計算済みなので、同様にして△ADCを計算します。四角形の面積が求まると、三角形の場合と全く同様に内接円半径を求められます。
(き)まで
(か)の結果が複雑なので、少しでも簡単にして微分したいです。厄介さの原因が「√の中にある2次式」なので、u=t^2 -4と置換すると多少は楽になります。それでも計算は中々大変です。
<筆者の解答>
第4問
反比例曲線と直線に関する問題です。
(1) C1とlの式を連立することで、x1+x2, x1x2がそれぞれ求まるので、これを利用してABを計算しましょう。mを固定したときの最小値は相加相乗平均の関係を使える形になっています。
(2)Pをx1, x2を使って表し、(1)の関係式を使ってmについて解いていきます。
(3) S(m)を積分の形で表してmで微分します。するとx1', x2'が現れますが、実は(1)で作った2次方程式を使うと消去することができます。
(4) mが決まれば、x1,x2をkとaだけの式で具体的に書くことができるので、代入して計算です。
<筆者の解答>