ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大数学 2006年

理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2006年の問題を取り上げます。

第1問

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積分値を不等式評価する問題です。

 

(1) |sinx|のグラフを描いてみると、π周期で同じ山ができて、かつ面積に絞ればπ/2ごとに同じ面積になることが分かります。

 

(2)中辺の積分は直接計算できるので、常套手段の引き算した値が0以上を示すという方針で解きましょう。微分して増減を調べるのがよいです。

 

(3)中辺の積分をat=xと変数変換することで、何とか(1)(2)を使える形に持っていきましょう。aの小数部分a-[a]が0以上1未満なので、(2)のsをs=a-[a]と置き換えることができることに気付けると見通しが良くなります。

 

<筆者の解答>

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第2問

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(筆者注:(1)はt^bではなくt^aです)

関数の極値と、領域の面積を求める問題です。

 

(1) g(t)を微分して増減を調べましょう。

 

(2) 式の形からしてあからさまに(1)を使えと言わんばかりです。(1)の結果から(b)の左辺の最小値が分かるので、(b)は、この最小値≧mと言い換えることができます。その上で(a), (b)を図示すればOKです。

 

(3) (2)ができればただの積分の計算問題です。指数の方にmとxが混在しているのがイヤらしいので変数変換をうまく使ってあげましょう。

 

<筆者の解答>

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第3問

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3枚の円盤の和集合の面積を最大化する問題です。

直観的には、「3つの円盤の中心を正三角形になるように並べれば最大になりそうだ」と予想できますが、それをきっちり論証するのは簡単ではありません。

 

3つの円盤を同時に動かすと訳が分からないので、2つの円盤を固定して3枚目の円盤を動かすことを考えます。

Pを原点中心、1つ目の円盤の中心をx軸上に、2つ目の円盤の中心を(cosα, sinα), 3つめの円盤の中心を(cosβ, sinβ)において考えることにし(0<α<β<2π)、一旦αを固定してβだけ動かして考えるわけです。

 

図を描いてみると、条件(b)を満たすためにはπ≦β≦π+αであればよいことが分かり、同時に0<α<πがαの動く範囲だと分かります。

 

あとは、ダブりのある2つの円の和集合の面積を積分を使って計算することで、3つの円の和集合の面積をα,βの式で求め、予選決勝法を使って最大値を調べていきます。

 

<筆者の解答>

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第4問

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四面体の体積を計算する問題です。

 

(1)簡単な内積の計算問題です。ベクトルAK, AK, AM, ANを全てベクトルAB, AC, ADの式で表現するという方針で良いでしょう。

 

(2)図を描けば明らかな分、文章としてどこまで書くかが悩ましいです。△ABC以外の3つの面の辺の長さの候補がa,b,cのいずれかで、問題文のような関係以外では二等辺三角形が出現してしまうことを説明できれば良いかと。。

 

(3)今年の九州大でも出題された、等面四面体の体積を考える問題です。等面四面体は、かならずとある直方体から切り出すことができるので、それを使って体積を計算することができます。

求めたいPKLNの体積は、底面積と高さが等面四面体ABCDに対してどんな比になっているかを考えることで求めることができます。

 

<筆者の解答>

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