理系数学の最難関の一角、東京工業大学の2003年の問題を取り上げます。
第1問
三次関数の接線を求め、面積を計算する問題です。
(1) 直線の式をy=mxとして連立し、その方程式が2つ解を持つ条件を考えます。解の一つがx=0になるのはすぐに分かるので、残りの2次方程式が重解を持つか、x=0を解に持つかの2択になります。
(2) (1)ができていれば基本的な積分問題です。
<筆者の解答>
第2問
長方形から正方形を次々切り出すときの、残った長方形の辺の比を考える問題です。
(1) 辺の比が短い順に 1 : an となっている状態で正方形を切り出したとき残りの比が短い順に1 : an+1になるとしたときに、an+1, anの関係式を考えるのですが、anと2との大小関係で場合分けが発生し、漸化式が分岐してしまうのが厄介です。
3回で終了するときa3=1となるので、上の漸化式を使ってa2, a1, a0 (=a) を逆算していきますが、漸化式の分岐を一個一個検討する必要があります。
(2) ak (k=1,2,・・・,n)の取りうる値の最大値をMk, 最小値をmkとします。(1)の漸化式を巻き戻しの形で書いてあげると、Mkについては簡単に漸化式が立ちますが、mkの考察に工夫が必要になります。漸化式をそのまま使うのではなく、不等式にできる発想が浮かぶとよかったと思います。
<筆者の解答>
第3問
点の存在条件を求めて面積を計算する問題です。
全体の流れは、ARベクトルをAR=mAM+nANの形で書く→Rが△AMNに含まれる条件をベクトルを使って求める→式を整理して図を描く→面積を出す というものです。
最初のARベクトルを求める過程ですが、そのためにはBR : RQを知る必要があります。
この比を求める方法には、初等幾何を使う方法とベクトルを使って機械的に求める方法の2通りがありますが、今回は初等幾何のメネラウスの定理を使うのが最も簡単だと思います。(ベクトルで求める解法は別解にて紹介しております)
次に、△AMNにRが含まれる条件ですが、ベクトルの知見を使うと、AR=mAM+nANなら、0≦m+n≦1, 0≦m≦1, 0≦n≦1の3つが成立すればよいことが分かります。
あとは、この3条件をx,yの式として整理して図に落とし込み、積分計算で面積を求めましょう。
初等幾何、ベクトル、不等式の代数処理と図示、積分と色々な要素が詰まった問題でした。
<筆者の解答>
第4問
関数方程式の問題です。
(1) fn(x)を文字で置いて数学的帰納法で証明します。
(2) 求める4つの数値はfn(x)の係数を使って表現することができるので、 (1)の証明過程で作った関数の漸化式で、係数比較をすることを考えるとよいでしょう。
<筆者の解答>