2021年も大学入試のシーズンがやってきました。
今回は、九州大学の理系数学に挑戦します。
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1. 四面体の内接球、辺と平面の交線(15分)
2. 複素数平面における図形問題(20分)
3. 領域図示、回転体の体積(30分)
4. 平均値の定理の検証(25分)
5. 2項係数が素数となる条件(20分)
<体感難易度>
1<2<5<3<4
標準的な問題から、第4問の様な威圧感のある問題までバラエティに富んだセットです。とはいえ、全体の難易度としてはさほど高くないと思います。
<個別解説>
第1問
四面体の内接球、辺と平面の交線に関する問題です。
(1) 内接球の半径は、四面体の体積と表面積から求めるのが定石です。
(2)球の中心と平面との距離を考えれば、三平方の定理で円の半径を、球の半径rを使って求めることができます。円の面積はrの2次関数となるので、平方完成で最大値は事足ります。
<筆者の回答>
第2問
複素数平面における図形問題です。
(1) (*)の判別式が負になればOKです。
(2) (*)を解くとαとβは複素共役で△OABは実軸に関して対称となります。このことからCは実軸上、つまりγが実数であることが分かります。これを使ってAC=OCを処理してあげればOKです。
(3) △OACが直角三角形になる時、直角になる角度が3通りあるので場合分けして検討しましょう。
<筆者の回答>
第3問
領域図示、回転体の体積を求める問題です。
(1) (*)を分かりやすく言い換えると、「yが、tを動かしたときのe^t - xtの最小値 以下であればよい」となります。
x≦0だとe^t - xtには最小値がないので不適、x>0ならばe^t - xtは最小値を持つので、微分してそれを調べましょう。
(2) Sを図示してセオリー通りに体積を積分で計算します。∫x^2 (logx)^2 dx という部分積分を何回も使わないと計算できない厄介な積分が登場するので、慎重に計算しましょう。
[訂正]
(1)において、x=0ではf(x)の下限値が0なので、最終結果にy軸の0以下の部分は「含まれる」が正しいです。
<筆者の回答>
第4問
平均値の定理を検証する問題です。
問題文が長く、「平均値の性質を持つ」なんていう造語もあり威圧感たっぷりです。ですが、やっていることの中身が理解できてしまえば、見た目ほど難しくないことが分かります。
全ての問題に共通して、f(β)-f(α) / (β-α) とf'(γ)を計算して、これらが等しくなるようなγが見つけてこられるかを検証することになります。
(1) n=2の場合であれば、γ=(α+β)/2 と簡単にγが見つかります。この式はαとβの中点なので、線分上にあるという条件もバッチリクリアしています。
(2) γ= 1+it (-1≦t≦1)と書けるので、条件を満たすtが見つかるようにa,b,cを調整します。といっても、b,cは途中で式から消えるので、実質aだけの条件になります。
(3) γ= (1+is)/√2 (-1≦s≦1)と書けるので、同様に調査します。絶対値を取ってあげると、どうあがいても条件が成立できないことが分かります。
<筆者の回答>
第5問
2項係数が素数となる条件を調べる問題です。
(1) kがnの半分になるところまでは、nCkが単調増加になることは経験上思いつくので、それを証明すればよいですね。nC1=nですから。
証明には、前後の比を取って、それが1よりも大きいことを言えばOKです。
(2) これは少し発想が要りますが、(1)をヒントに考えてみましょう。
nCkを分数の形で書くと、分子にはn!が登場します。ここでもし、nがpより小さかったらn!のなかにpは登場せず、約分したところでpが出てくることはありません。
よって、nCk = p となる以上は、nがp以上でないといけないと分かります。
ここで(1)の知見を活かすと、2≦k≦n-2のときはnCk >n≧pとなってしまい、不適となることが分かります。この時点で、k=1, n-1, n の3つまで絞ることができます。
ここまでくれば、答えが出たも同然です。
<筆者の回答>