皆さん、こんにちは。
久々にコロナネタを投稿します。
今、オミクロン株が猛威を振るっています。
このオミクロン株は、「デルタ株と比べても感染力が上がっている」と言われる一方、「デルタ株に比べて重症化リスクが低く弱毒化している」と言われています。
この弱毒化説を受けて「弱毒化したのだから、もう元通りにして大丈夫だ!」と息巻く人が少なからずいますが、果たしてそうなのでしょうか?
検証してみましょう。
1. デルタ株の条件設定
検証に当たって、条件を設定しておきましょう。
デルタ株の新規患者が、1週間当たりR倍に増えるとし、そのうち入院の必要な患者がそのr%発生するとします。
こう設定すると、最初の週の感染者が仮に1人だったとしても、1か月経つと累計
1+R+R^2+R^3 (人)の患者が発生し、そのうちr*(1+R+R^2+R^3)/100 (人)が入院しなければならない状況となります。
2. オミクロン株の設定
次にオミクロン株について考えます。
各種報道では、オミクロン株の感染力は、デルタ株のそれの3-4倍程度あると言われています。
CNN.co.jp : オミクロン変異株の感染力、デルタ株の3倍 米CDC
ということで、デルタ株の3倍という甘め予測と、4倍という厳しめ予測の2通り考えることにします。
2-1. 感染力3倍(甘め予測)
このとき、オミクロン株の患者は1週間で3R倍に増えるので、入院率がr'%だとすると、1か月後の入院患者は、
r' { 1+(3R)+(3R)^2+(3R)^3} /100 = r' (1+3R+9R^2+27R^3} /100 人となります。
2-2. 感染力4倍(厳しめ予測)
このとき、オミクロン株の患者は1週間で4R倍に増えるので、入院率がr'%だとすると、1か月後の入院患者は、
r' { 1+(4R)+(4R)^2+(4R)^3} /100 = r' (1+4R+16R^2+64R^3} /100 人となります。
3. オミクロン株がどれだけ弱毒化してないとヤバイのか?
さて、こうしてデルタ株とオミクロン株とで入院患者の数を文字式で表現できたので、両者を比較してみましょう。
オミクロン株が弱毒化しているのなら、r'<rとなります。ところが、入院患者数についても「オミクロン<デルタ」になるのかというと・・・・
まず、感染力が3倍という甘め予測の場合に、オミクロン株がデルタ株と同等の入院患者で収まるには、どれだけ弱毒化していないといけないかを概算してみます。
このとき、
r' (1+3R+9R^2+27R^3} /100 = r(1+R+R^2+R^3)/100
⇔r'/r = [ (R+1)*(R^2+1) ] ÷ [ (3R+1)*(9R^2+1) ]
となります。このr'/rの値が、オミクロン株がデルタ株に対してどれだけ弱毒化してないといけないかを表す指標となります。
感染力4倍の厳しめ予測の場合も同様にすると、
r' (1+4R+16R^2+64R^3} /100 = r(1+R+R^2+R^3)/100
⇔r'/r = [ (R+1)*(R^2+1) ] ÷ [ (4R+1)*(16R^2+1) ]
となります。
これをグラフにすると下のようになります。
これをみると、オミクロン株の毒性が最低でもデルタ株の1/10になってないと、1か月の入院患者がデルタ株を上回ってしまうことが分かります。
つまり、
「いくら弱毒化したとはいえ、感染力が格段に上がってしまうと容易に医療崩壊を起こしてしまう」
ということが分かるわけです。
今回は1か月分で比較を行いましたが、もっと期間を延ばせば感染力が強くなる効果がより大きく出てくるので、弱毒化のメリットなんて格段に霞んでしまうでしょう。
今、専門家が「オミクロン株は重症化率は低いが軽視してはいけない」と警鐘を鳴らしているのはこういう理由な訳です。
皆さんも軽く見ることなく、引き続き感染対策を行いましょう。