このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
4回目の今回は2016年になります。
第1問
複素数の等式に関する問題です。
両辺を極形式に書き換えて右辺を1にしてしまうと、左辺の絶対値は1、偏角が偶数×πとなることが必要になることが分かります。
そうなるようなm,nの条件を求めましょう。
[訂正]極形式の変換にミスがあったので、差し替えました。
<筆者の解答>
第2問
条件付確率の問題です。(1)と(2)以降は独立しています。
(1)少なくとも1回3が出る確率をまず求めておきます。その後、3つの合計が9になる条件を決めていきます。
3回ともが3になる場合と、3が1回だけ出る場合に大別され、さらに後者は色の配分と数字の配分を両方を考える必要があります。その過程で、n=3の場合、n=4の場合、n≧5の場合に分けなければいけないことに気付きます。
(2) こちらについては、少なくとも1回赤の1を引く確率と、3回すべてが赤でその中に1が含まれる確率を考えます。両方とも、余事象で考えると容易いです。
(3) p(n+1)とp(n)の比(あるいは差)を計算しても旨味がなさそうなので、p(n)を微分するほかないと思います。
(4) 分母と分子の最高次の係数に注目してあげればよいでしょう。
<筆者の解答>
第3問
空間内にある直線と平面に関する問題です。
(1)ABベクトルとACベクトルを計算すれば、公式に代入して終了です。
(2)l上の点Pは(1-p, 2+p, 3p)とパラメータ表示できます。πの式は法線ベクトルの情報から即座に求まり、Pがパラメータpによらずずっとπ上にある条件を求めることでa~cの条件が求まります。pに関する恒等式の条件を求めることになります。
(3)この問題は、正直出題ミスだと思います。結論から言うと、条件を満たすcが求まりません。出題ミスになってしまっている原因は「線分」です。
線分ACをf: (1-f)に内分する点をF, 線分BCをg: (1-g)に内分する点をGとして、FとGがπ上にある条件を考えます。面積の条件については、比の関係からfg=1/2が分かります。
こうしてcの値自体は(2)の結果を使うと求まりはするのですが・・・
FとGは「線分」AC,BC上の点なので、0≦f≦1, 0≦g≦1となっていないといけません。ところが、先ほど求まったcを代入すると、fとgは上の条件を満たしません(つまり線分からFとGのどっちかは外れてしまう)。
なので、「題意を満たすcは存在しない」という不本意な回答になってしまいます。
ここまで至る過程でも複雑な計算の連続ですので、こんな結果が出てきたら絶対に受験生は計算ミスを疑うはずです。なのに「cは存在しない」が正解とは、不親切にも程があります。
一応計算ミスがないことを確認はしていますが、万一ミスがあって正解が存在していれば、是非コメントを下さい。
<筆者の解答>
第4問
相加相乗平均を題材にした数列の問題です。
(1)a≧bとしても一般性を失わないので、この前提で順繰りに不等式を証明していきましょう。
(2) (1)の不等式をつかうと、b<bn<bn+1<an+1<an<aが分かるので、bnは単調増加しanは単調減少すると分かり、bnには上限a、anには下限bがあるので、少なくともan, bnが「収束する」ことはわかります。
あとは、それぞれの収束値をα,βとして、α-β=0になることを示しましょう。
(3)an+2を素直に計算すると、2乗の形を作ることができます。
(4) (3)と同じようにcn+2を素直に計算すると2乗の形が作れ、(3)の結果を利用すると、分母が√an+2になるところまで追いつめることができます。
anが単調減少だったので、an+2>αが言えるので、これで終了です。
<筆者の解答>
第5問
曲線の囲む面積を計算する問題です。
xとyを微分することで曲線の概形を描くのが先決です。すると曲線はy軸対称なのでx≧0に絞って面積計算をしに行きます。変数変換などを駆使して、できるだけ計算量を減らすとよいでしょう。
<筆者の解答>