ちょぴん先生の数学部屋

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2022年度 早稲田大理工学部数学 解いてみました。

2021年も大学入試のシーズンがやってきました。

今回は、早稲田大学理工学部に挑戦します。

 ※当日解いており、誤答があるかもしれない点はご了承ください。

※2/19追記:河合塾の解答速報を確認した結果、いくつかの問題でミスがあったので訂正します。

 

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1. 指数関数のグラフ・面積・回転体の体積 (35分)

2. 整数解を持つ2次関数の決定 (25分)

3. ガウス記号を含んだ漸化式の極限 (20分)

4. 四角錐に内接する球の共通部分の体積 (50分)

5. 累乗×対数関数の考察 (35分)

 

計165分

<体感難易度>

 2<5<3<1<4

全体的に去年よりも明らかに難化しました。

比較的簡単だと思われる第2問や第5問ですら完答するのは容易ではなく、第1問は計算地獄で苦しみ、第3問は(3)の発想がやや難しく、第4問は(1)から手を付けるのが難しそうな問題になっています。

 

<個別解説>

第1問

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指数関数のグラフ・面積・回転体の体積をそれぞれ調べる問題です。

 

(1) f(x)とg(x)の増減を微分で調べ、CとDの交点を調べます。

 

(2) こちらに関しては上下関係が特にひっくり返ることもないので、素直な積分計算で片が付きます。

 

(3)これは難問だと言えます。

 

(1)で描いたグラフから回転体を考えるのですが、x軸を挟んでx>0の部分とx<0の部分が混在してしまっています。こうなると、x>0の部分を回転した立体とx<0の部分を回転した立体にダブりが生じてしまいます。

 

このダブりを解消しつつ回転体の体積を求めるには、y=|f(x)|, y=|g(x)|のグラフを新たに考える必要があり、そうした上でもどの部分を回転すればよいかをイメージできないと厳しいです。

 

このようにするとVの式自体は立って大きく4つの積分を計算することになるのですが、その1つ1つが計算地獄の一言です。

 

着眼からの立式自体が難しく、その後の積分計算でも難儀するという、とても難しい問題でした。

 

<筆者の回答>

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※(2)の積分で計算ミスがあったので、訂正しました。

 

第2問

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整数解を持つ2次関数を決定する問題です。このセットの中では比較的易しめの問題で、この問題を落とすと相当厳しいです。

 

(1) f(x)=x^2 +ax+b とおいて、条件を満たすようにa,bを決めていきます。f(x)=0の解が整数解なので、a^2 -4b が平方数でないといけません。それを手掛かりにして計算していくと、積の形=4pqとなるので、お馴染みの整数問題のスタイルになります。

 

pとqが対称な形をしているのでp<qとしても問題なく、p=2の場合とp≧3の場合に分けて検討していきます。結果的には両者は合流するのですが・・・

 

(2) (1)で求まった全てのf(x)=0に対して実際に解を求めると、それらにダブりはありません。なので、解を全部合計するとpとqが消えることを確かめればOKです。

 

<筆者の回答>

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第3問

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ガウス記号を含んだ漸化式の極限を考える問題です。

 

(1) これは解説不要でしょう。bnとcnの漸化式を解いて極限を飛ばすだけです。

 

(2) an-1<[an]≦anから、an+1を評価することができます。

 

(3) 十分に大きいnについて、bnとcnの整数部分は一定値になるため、(2)の結果から[an]の値が求まってしまいます。ここに気が付けるかがポイントでした。

 

それを基にanの漸化式を解いてしまえば極限が計算できます。

 

(2)の不等式をみて、即座に「はさみうちだ~!」とできない出題で、嫌らしかったと思います。

 

<筆者の回答>

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第4問

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四角錐に内接する球の共通部分の体積について考察する問題で、本セットの最難問だと思われます。

 

(1)この時点で苦手な人は詰んでしまいかねない、見慣れない出題です(東大の2018年第6問を彷彿とさせます)。要するに、これはベン図を使って共通部分を考える問題です。

n=2,3については、ベン図を描くことで考察ができるでしょう(答案では、式を覚えていたのでベン図を経由せずに解いてしまっていますが)。

 

n=6については、流石にベン図を使った考察が難しいので、B1とB6, B2とB5, B3とB4と3つの部分にグループ分けしてn=3の場合の考察に帰着させます。上のようにグループ分けした理由ですが、例えばB1とB6は共通部分が点しかないので体積はX2個分と考察しやすいためです。

 

※2/19追記:n=6の場合にZの考察が抜けておりました。

 

(2)こちらは四角錐P6-P2P3P5P4の体積を2通りで表す方法でB1の半径を求めていきます。そのためには四角錐の表面積と、体積(高さ)の情報が必要です。

 

(3) B1とB2の中心間距離が、B1の半径の1/√2倍だと分かれば、積分計算でYが求まります。あとは(1),(2)の結果を使えばお終いです。

 

<筆者の回答>

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第5問

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累乗×対数関数を色々と考察していく問題です。

 

(1)x=e^(-s)と変換してあげると、ヒントの極限が利用できます。

 

(2) f''(x)を計算していくのですが、a=1の場合だけ例外扱いになることに要注意です。

f(x)の式を見ればx=1でx軸と交わると分かるので、f''(1)=0となるようにaを調整してあげましょう。

 

(3)lの式を計算して、そのy切片が負になる条件を求めていけばよいでしょう。一応真数条件からt>0となることも忘れずに。

※グラフの形状のミスとa>0の見逃しがあったため、訂正します。

 

<筆者の回答>

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※訂正前

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