このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
20回目の今回は2000年になります。
第1問
複素数の存在範囲と、正三角形が出来る条件を考える問題です。
(1)wの式の分母の「-b」が邪魔で計算しにくいので、zをbだけずれた極形式で表現するとよいでしょう。あとはwの式で虚部=0となる条件を考えます。
(2)w=0のとき、zの2次方程式を実際に解いて考えます。もしこの解が実数だと正三角形が作れないので、虚数解で確定です。その上で正三角形になる条件を比の条件で考えるとよいです。
ここで、虚数解となる条件が(a-b)^2<4でaとbが整数なので、(a-b)^2=0,1しかあり得ません。これを使えばaとbの値を確定できます。
<筆者の解答>
第2問
2法線の交点の軌跡、それに関する回転体の体積を計算する問題です。
(1)2つの法線の式を求めて連立すればよいです。
(2) (1)の結果でQ(x,y)として、x,yをtで微分して増減を調べます。
(3) Qの軌跡が素直な形をしているので、通常通りにtへの変数変換をしつつ積分計算しましょう。
<筆者の解答>
第3問
折れ線の長さを最小化する問題です。
(1) P(rcosθ, rsinθ)とかけるので、内積を使ってcosを求めればよいでしょう。
(2) Aのlについて対称な点をA'としたとき、Pがlと線分A'Bの交点ならAP+PBは最小になります。そのとき、視覚的に∠OPA+∠OPB=180°が分かります。
(3) (1)の結果を(2)に代入すればよいのですが、(1)がルートの入った複雑な形をしていて面倒です。そこで、一旦計算しやすくするために(cos∠OPA)^2 = (cos∠OPB)^2を処理して必要条件を求めて、最後にcos∠OPA+cos∠OPB =0となっているか、十分性を確認するのがよいと思います。
(4) Pの座標がcos2θ, sin2θの式で描けるので、θを消去すればPがどんな図形上にいるかが分かります。あとはPのx,y座標の範囲をちゃんと調べておきましょう。
<筆者の解答>
第4問
まさかの小問集合です。
(1)見かけ上はボリューミーですが、証明の間違い自体はすぐに見抜けるでしょう。k=2のときにSとして(黒×1, 白×1)が取れるので(ii)の仮定がそもそも成立していないのです。
(2)文は短いですが、実質こちらがメインでしょう笑
状況を数式に翻訳すると、5円切手をm枚、6円切手をn枚使って合計N円の買い物をするとしてN=5m+6nとかけます。
N≧20のときにN=5m+6nを満たす0以上の整数(m,n)が見つかることを証明していきます。Nを5で割った余りで分類するとよいでしょう。
<筆者の解答>