ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

平成の九大理系後期数学 -1998年-

このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。

 

22回目の今回は1998年になります。

 

第1問

f:id:stchopin:20220217211708p:plain

 

漸化式に関する問題です。

 

(1)直接漸化式を解くのが難しそうなので、実際に値を求めてみて一般項を予想します。今回はa7くらいまで調べないと法則性が見えにくいかと思います。

 

予想が出来たら、数学的帰納法で証明します。

 

(2) (1)の結果からnの偶奇による場合分けが発生します。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220217213234p:plain

 

第2問

f:id:stchopin:20220217211728p:plain

 

積分の形で書かれた関数の増減を調べる問題です。

 

積分の中を見ると、(x-y)^(n-1)というn-1次関数があり、かたやf(y)という1次関数があります。もし(x-y)^(n-1)の形を放置すると積分がややこしくなりかねません。なので、x-y=tと積分する変数をyからtに変換すると、ややこしい部分を1次関数という扱いやすい関数に押し付けることができて、積分が非常に簡単になります。

 

こうして積分を解いてしまえば単純なn+1次式の増減を調べる問題に化けます。

 

増減を調べる際に、nの偶奇による場合分けが発生することに注意です。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220217213315p:plain

 

第3問

f:id:stchopin:20220217211752p:plain

 

積分の計算問題です。

 

(1)これは教科書レベルの単純な積分でしょう。

 

(2) f(dj)が2種類の等比数列の和になっているのでGmを計算してから極限をとる、という方法でも行けるとは思いますが、Gmの式の形から区分求積法を使えば楽そうだ、とは思ってほしい所です。

 

区分求積法を使うと、f(x)の1~2の区間の定積分になります。

 

計算すると(1)の結果と一致しますが、これは偶然ではありません。f(x)は実は奇関数なので、-1~1での積分値が0になります。なので、-1~2の積分と1~2の積分は等しくなります。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220217213350p:plain

 

第4問

f:id:stchopin:20220217211816p:plain

 

線形計画法と確率を絡めた問題です。

 

(1)まずはl2の式を求めて状況を図に起こしましょう。すると、Sの面積の2倍が積分で求まることが分かります。

 

(2) (1)の結果から図形を2等分する直線mの式と、mとl2の交点Qの座標が求まります。このとき、直線k=px+qyとSとが交点を持つkの最小値をp,qの式で求めていきます。

 

p/qとmの傾きの大小による場合分けが発生し、さらにkの最小値が9/5以下という条件もあります。大変ですが、条件に合致する(p,q)の組を調べ上げましょう。

 

その際、eの値の近似値が要求され、殆どの物は2.7<e<2.8の精度で事足りますが、一部より精度の高い2.71<e<2.72が要求される場面が出てきます。

 

<筆者の解答>

f:id:stchopin:20220217213439p:plain

f:id:stchopin:20220217213508p:plain

f:id:stchopin:20220217213536p:plain