このシリーズでは、平成の九大理系数学の後期入試の問題を1年ずつ遡って解いていきます。
22回目の今回は1998年になります。
第1問
漸化式に関する問題です。
(1)直接漸化式を解くのが難しそうなので、実際に値を求めてみて一般項を予想します。今回はa7くらいまで調べないと法則性が見えにくいかと思います。
予想が出来たら、数学的帰納法で証明します。
(2) (1)の結果からnの偶奇による場合分けが発生します。
<筆者の解答>
第2問
積分の形で書かれた関数の増減を調べる問題です。
積分の中を見ると、(x-y)^(n-1)というn-1次関数があり、かたやf(y)という1次関数があります。もし(x-y)^(n-1)の形を放置すると積分がややこしくなりかねません。なので、x-y=tと積分する変数をyからtに変換すると、ややこしい部分を1次関数という扱いやすい関数に押し付けることができて、積分が非常に簡単になります。
こうして積分を解いてしまえば単純なn+1次式の増減を調べる問題に化けます。
増減を調べる際に、nの偶奇による場合分けが発生することに注意です。
<筆者の解答>
第3問
積分の計算問題です。
(1)これは教科書レベルの単純な積分でしょう。
(2) f(dj)が2種類の等比数列の和になっているのでGmを計算してから極限をとる、という方法でも行けるとは思いますが、Gmの式の形から区分求積法を使えば楽そうだ、とは思ってほしい所です。
区分求積法を使うと、f(x)の1~2の区間の定積分になります。
計算すると(1)の結果と一致しますが、これは偶然ではありません。f(x)は実は奇関数なので、-1~1での積分値が0になります。なので、-1~2の積分と1~2の積分は等しくなります。
<筆者の解答>
第4問
線形計画法と確率を絡めた問題です。
(1)まずはl2の式を求めて状況を図に起こしましょう。すると、Sの面積の2倍が積分で求まることが分かります。
(2) (1)の結果から図形を2等分する直線mの式と、mとl2の交点Qの座標が求まります。このとき、直線k=px+qyとSとが交点を持つkの最小値をp,qの式で求めていきます。
p/qとmの傾きの大小による場合分けが発生し、さらにkの最小値が9/5以下という条件もあります。大変ですが、条件に合致する(p,q)の組を調べ上げましょう。
その際、eの値の近似値が要求され、殆どの物は2.7<e<2.8の精度で事足りますが、一部より精度の高い2.71<e<2.72が要求される場面が出てきます。
<筆者の解答>