ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東工大後期数学 -2000年-

このシリーズでは、平成の東京工業大学の後期日程の数学の問題を解いていきます。

 

12回目の今回は2000年です。

 

第1問

 

3次関数に関する領域図示の問題です。

 

(1) f(-a)=0が分かるので、f(x)はx+aを因数に持ちます。どこまで因数分解すればいいかが悩みどころですが、残った2次式g(x)が1次式に綺麗に因数分解できないので、x+aを括りだすだけで留めておいてよいでしょう。

 

(2) (1)の結果を利用して考えないと非常にしんどいことになります。というのもf(x)を微分しても綺麗な形にならず、極値をうまく計算するのが困難だからです。

 

まずa≧0の場合とa<0の場合に大別されます。

 

前者の場合、x≧0ならx+a≧0が確定しているので、g(x)がx≧0で0以上なら良いことになります。g(x)の軸の位置で場合分けして検討するとよいでしょう。

 

後者の場合は、普通に考えればx=-aでf(x)の正負が切り替わってしまいます。それを解消する手段はただ一つ。f(x)が(x+a)^2で括れる、つまりg(x)がx+aで割り切れることです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

球の外側にあるひもの存在領域の体積を計算する問題です。

 

(1) 部分積分で計算できます。この関係式が(2)で登場する積分計算の助けになります。

 

(2) いきなり空間で考えるのは難しいので、平面から考えます。

原点中心のxy平面上にある半径1の円の一点(1,0)にひもを結んだときの、ひものもう一端の軌跡が、xy平面上におけるひもの存在範囲Dを決めます。このDをx軸周りに一回転すれば、最終的に体積を考える立体になるわけです。ということで、まずはDを求めるところから始めます。

 

x≧1のときは、何も障害物がないので、Dは(1,0)中心半径πの半円にすればよいでしょう。問題はx≦1のとき(円とひもが干渉するとき)どうなるかです。

このとき、ひもの長さθの部分が円に巻き付いていると考えて、ひものもう一端Qの座標をθを使って表現するとよいでしょう。これにより、Dが求まります。

 

あとは、その結果を使って回転体の体積を計算していくのですが、その途中過程で(1)を使いたいので、sin,cosは「累乗」ではなく「倍角」の形にうまく変換して計算を進めていきます。かなり大変な計算ですが、頑張って進めましょう。

 

<筆者の解答>