ちょぴん先生の数学部屋

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2023年度 名大文系数学 解いてみました。

2023年も大学入試のシーズンがやってきました。 今回は、名古屋大学文系数学に挑戦します。

なお、原則文系ユニークの問題のみ解いていきます。理系の記事は↓

2023年度 名大理系数学 解いてみました。 - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)

<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)

1:  接する3次関数と2次関数の図示(30分)

2: 立方体の対角線を絡めた体積 (25分)

3: 確率(40分)

計105分

 

<体感難易度>

2<1<3

 

名古屋大らしく中々骨のあるセットです。個人的に第3問の確率はかなり面白い問題でした。理系との共通問題はありませんでした。

 

<個別解説>

第1問

接する3次関数と2次関数を図示する問題です。

 

(1)普通に因数分解するだけなのですが、因数をうまく見つけるコツは、xに代入する数字としてaがうまく消えるようなものを試してみることです。

 

結果として因数の一つにx+1が出て来ますが、この因数はg(x)も持っているので、(1)の結果からf(x)もx+1で因数分解できることが分かります。

 

(2)2曲線の交点x座標は、(1)で調べたf(x)-g(x)=0の解なので、直ちに3つ求まります。交点が2つしかないということは、そのうちの2つが重解になっていることになります。

 

(3) (2)で求まるaは2通りの値があるので、場合分けします。問題文にある「極大値が1より大きい」は、この2通りを1択に絞らせるための措置ですね。

 

この問題は、どっちの場合を先に選択して検討し始めるかで地味にメンタルに影響が出るかもしれませんね。

問題文から図示は1回しかしないだろうことが予想できるので、先に当たりの方をやっとくことで、後半の極致計算の面倒な方は「絶対外れだ」と決め打てるわけです笑。幸い私は運よく当たりの方を先に検討できましたが。

 

外れの方は、極値を与えるxが無理数になるので、極大値自体も無理数になり計算+評価が面倒です。次数下げなどの工夫が要りますね。この評価の部分で「絶対外れだ」という安心感があるのとないのとでは、心構えが全く違うものになるでしょう笑

 

<筆者の回答>

 

第2問

立方体の対角線に絡んだ体積など諸々を調べる問題です。

 

(1)相似な三角形の存在を見抜ければ容易いでしょう。このAXが後続の問題全てを解くにあたっての基本になります。

 

(2)∠DAGの三角比を調べるのが一番簡便な計算方法でしょうね。

 

(3) 2つの四面体を別々に検討して最後に足します。

四面体の体積を考える上では、底面を立方体の面にすると考えやすいです。高さはAXを使った比の関係で求めることができます。

 

(4)分母分子を割り算することで相加相乗平均に持ち込めばよいです。

 

<筆者の回答>

 

第3問

確率の問題です。

 

ルールを把握してカードの枚数変化を追っていくと、最初の5回の操作では取り出した球に関係なく1枚ずつ減っていくことが分かります。よって、ラスト3回の操作について詳しく調べていくことになります。

 

全体を通じて言える話ですが、確率計算するときは、同じ数字の球であろうと区別してカウントするのが原則です。でないと「同様に確からしい」という確率計算の大原則が崩れてしまうからです。

 

(1)ラスト3回で2枚だけ減らすにはどういう球の出方をすればいいかを調べていきます。この小問では球を戻すので、同じ数字の球を何度でも使うことができるというのがポイントです。

[訂正]答案で最後の行で計算ミスを犯していて、正しくは9/16が答えです。

 

(2)8回でカードを0枚にするためには、全ての操作で1枚ずつ減らないといけません。この時点でラストの8回目で引く球は「1」で確定です。あとは、ここから逆算して6回目、7回目でどの数字が出ないといけないかを列挙していきます。

 

この小問では球を戻さないので、一つの数字が使えるのは2回までです。そう考えると、1~8回目の球を横一列に並べる場合の数に持ち込んで考えた方が得策ですね。

このように考えたいからこそ「同じ数字の球であっても区別してカウントしろ」と冒頭で言及したわけです。こうしとかないと、全事象を8!通りにできないので、確率が正しく計算できなくなってしまいます。

 

<筆者の回答>