このシリーズでは、平成の東京工業大学の後期日程の数学の問題を解いていきます。
14回目の今回は1998年です。
第1問
極限の計算問題です。
カッコの中身の分母をn^aで括ってあげると、(1+k/n)^(-a) (k=0,1,・・・,n-1)の和になって、区分求積法が使えそうな形になります。実際には、この和に1/nをかけたものの極限が区分求積法で計算できるので、それよりも分母のnの数が多ければ0に収束、nの数が少なければ無限大に発散、ということになります。
区分求積法の部分はa=-1の場合だけ例外扱いになることに注意です。
<筆者の解答>
第2問
斜めになった円柱側面を回転してできる立体の体積を考える問題で、かなりの難問だと思います。
(1) まず、l1とl2の距離が1になっていることが分かるので、Cはl1を軸にした底面半径1の円柱側面となります。
いきなりCの式を求めるのは難しいので、制限を加えてC上にある点(X,Y,Z)の関係式を求めていきます。その制限とは、「l1上の点P(0t,t)を通り、l1に垂直な平面上にPがある」です。
この条件からX~Zの関係式がtの式で2本かけるので、tを消去することでCの方程式が求まることになります。
そうしてできるCの方程式でz=0とすれば、目当ての楕円がゲットできます。
(2) この小問は、直接yz平面の断面を調べに行くよりも、(3)を見据えてRを平面z=sで切った断面を考えることで間接的に調べたほうが良いです。
Cをz=sで切ると(1)の楕円をy方向に平行移動した断面ができ、それをz軸周りに回転させればRのz=sでの断面が出来上がります。
z軸がこの断面の楕円の外側にある時は、断面は簡単にわかります。では、z軸が楕円の内側に入った場合はどうなるか?
今回の問題ではCが空洞になっているというのが厄介なポイントで、楕円のうち何処が一番z軸に近いかを場合分けして検討しないといけません。
Rのz=sでの断面はいずれもドーナツ形で、外径は楕円の一番外側と簡単にわかるのですが、内径は「楕円の端のもう一方」とは限らなくなるわけです。
ともあれ、ドーナツの外径と内径が分かってしまえば、そこから「Rのyz平面での断面」の境界線を書くことができます。
(3) (2)で検討したドーナツの面積を全てsで積分すればOKです。
<筆者の解答>