ちょぴん先生の数学部屋

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平成の慶応理工数学 1999年

私立最難関の一角、慶應義塾大学理工学部の問題を取り上げます。

 

今回は1999年です。

第1問

空間内での点の軌跡を考える図形問題です。これは立体をイメージできないとかなり難しい問題だと思います。

 

ア、イ:回転軸で切った断面を考えてあげるとよいでしょう。このときに各球の半径がどういう不等式を満たしているべきかを考えていきます。

 

ウ~オ:Pの軌跡が楕円になるらしく「PFとPHとの比較など」という曖昧ながらヒントがあるので、それを軸に考えていきます。

 

平面Ωと球Saだけに注目して図にしてみると、AHと直線OPは垂直、AFとΩは垂直、という配置になっていることが分かります。そこから、2つの合同な直角三角形を見つけられれば、PF=PHが言えます。

 

同じように直線OPとSbとの接点をH'とすればPG=PH'となっていることが分かりますので、結局PF+PG=PH+PH'=HH'=OH'-OHで計算できることが分かり、これはPの位置によりません。

このことから、Pの軌跡は、FとGを焦点とした楕円になることが分かります。

 

あとは、焦点と長径、短径の間の関係式から短径の長さを調べられます。(※ここでは長径、短径は、「直径」に相当する長さで、「半径」ではないことに注意です)

 

<筆者の解答>

 

第2問

面積の増減に関する問題です。

 

S(t)自体は積分の形で書けるので、その微分積分区間を中身に突っ込むことで容易に計算できます。これでカ、キは解けます。

 

ク、ケを知るためにはS(t)の積分を実行する必要がありますが、第1項の積分に工夫が必要ですね。経験が要るところですが、分母分子にe^(-x)をかけることで「分母を微分すると分子ができる」の形にできて、積分できるようになります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

確率の問題です。

 

コ~シ:X2n≦0となるのは「1が出ないとき」で、X2n=0となるのは「1が出ず、かつ0が少なくとも一回出るとき」なので、そこから確率分布と期待値を計算できます。

 

極限が1になるという結果も、「無限回やればいつかは1が出る」という考察から容易に予想できますね。

 

ス:期待値を計算したいので、Xn=0となる確率を知る必要はないですね。Xn=-1となるのは-1がn回以上出るとき、Xn=1となるのは1がn+1回以上出るときなので、そこから期待値を計算できます。

 

セ:直感的には、「無限回やれば-1,0,1が均等に出てくるから、中間の値は0になる」ということで結果が0になることが予想できます。穴埋め式なので当てずっぽうで答えてもいいわけですが、これを厳密に証明しようとすると、意外と面倒です。

 

スが全て積の要素でできているので対数を取って和の形に直し、区分求積法で極限を計算するというのが一番ストレートな解法でしょうかね。こうするとlog|ス|が-∞に発散することが分かるから、スは0に収束すると言えるわけですね。

 

<筆者の解答>

 

第4問

畳み込み積分に関する問題です。

 

(1)g(x)を微分するときに、中身にxを突っ込みたいのですが、非積分関数自体にxが含まれていてそのままではできません。なので、加法定理を使ってxを積分の中身から追い出してあげればよいでしょう。

 

(2) g(x)が恒等的に0なら、(1)の結果からh(x)は定数関数になることが分かります。その状態で元の定義式に立ち返って、この定数が0であることを示せばよいです。

 

(3)部分積分を利用して、tの指数を落としていきます。

 

(4) (3)の結果から逆算してf(t)を構築すればよいです。

 

<筆者の解答>

 

第5問

タイルの貼り方について考察する論証問題です。正直、よくこんな証明方法を思いついたなぁという感想です。

 

(1)A,Bに覆われるマスの数字を実際に足し上げてあげると、タイルの位置によらず0になります。

 

(2) (1)の結果から、Rm,nがA,Bだけで覆いつくせるならRm,nのマス目の数字全ての合計は0になるはずです。

このことから、mとnの条件を絞り込むことができます。

 

<筆者の解答>