このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。
6回目の今回は2002年です。
第1問
回転体の体積を計算する問題です。
(1)f'(x)とf''(x)の符号を調べればよいでしょう。極限については「指数関数は多項式より強い」の原則が生きます。
(2) 体積を計算する積分は、実は原始関数がきちんと求まるタイプになっています。なのでV1をCの式で直接書き下すことができ、極限計算も容易です。
(3)こちらも部分積分を駆使すればきちんと積分計算をやりきることができます。
<筆者の解答>
第2問
20面体の体積を考える問題で、全体的に空間把握能力が必要な難問です。
(1) ベクトルの計算から面積は求まり、P1, P2, P3を通る平面の式が分かれば、Oとの距離が分かります。
(2)四面体OP1P2P3の体積については(1)で調べた情報からすぐに求まりますが、四面体OP1P2S2についてはまた1から考える必要があります。
頑張ってL1,L2,L3の図を描いてみると、△OP2S2はyz平面上にありかつy軸について対称な2等辺三角形になっていること、この三角形を底面としたときの高さはP1のx座標その物(つまりa)となっていることが分かります。
(3) この20面体を実際に図に描いてみると(私自身完璧には描けてないですが)、△P1P2P3と合同な三角形が8個、△P1P2S2と合同な三角形が12個あることが分かります。正直、これは図を描かないと分かりにくいうえに、この個数をしくじるとこれ以降の小問は完全に積んでしまうため、難しいと思います。
この2種類の三角形それぞれの頂点からOに辺を伸ばすと、(2)で求めたOP1P2P3と合同な四面体が8個、OP1P2S2と合同な四面体が12個と、底面に対応した個数が分かります。ここから体積を計算することができます。
(4) (3)の結果を微分して増減を調べるだけです。
<筆者の解答>
第3問
数列に関する問題です。
(1)これは流石に中学生レベルの易しい方程式でしょう。
重要なのは、一度anの値がこのbになると、以後ずっとbのまま変わらなくなる、という点です。
(2)実際にa4=bから逆算してa3,a2,a1を計算してみましょう。
(3) (2)の結果を眺めると、an=bとなるとき、a1=k/(3×2^(n-2) ) の形なんじゃないかと予想できます。これをnについての帰納法で証明していきます。
(4)ここ以降はかなり難しいです。
この問題の方針は大きく2つあります。
「実際にan≧3/4となるnを見つけてくる」「つねにan<3/4だと仮定すると矛盾が生じることを示す=背理法」の2つです。
前者はa1すべてに対しそんなnを見つけてこないといけないわけですが、a1の候補があまりに広すぎて現実的ではありません。ということで、後者の背理法を採用します。
初項を1/2未満に設定すると、f(x)の条件から1/2を超えるまでanの値は倍々になっていき、いつかは必ず1/2を超えます。ということで、「つねに3/4未満」という過程と合わせて、最初から1/2<a1<3/4と設定してしまっても問題ありません。
この条件設定の下、a2<3/4でないといけないので、a1の範囲はもっと縮まり5/8<a1<3/4となります。以後ずっとan<3/4でないといけないので、結局つねに5/8<an<3/4となっていないといけないと分かります。
このとき、anの漸化式はan=-2an-1 +2と書けるのでそれを解いてあげると発散する数列となります(唯一の例外がa1=2/3となることなのですが、a1が(3)を満たさない、という前提があるのでそうはなりません)。
発散するということは、明らかに「つねに5/8<an<3/4」と矛盾しています。
(5) (4)の結果から、(3)の条件を満たしていないとき、いつかはan>3/4となります(※(3)の条件を満たさないのでan≠3/4です)。そのときan+1<1/2となり、同じ手順を踏むとまた3/4以上になります。
要するに、(3)の条件を満たしていないなら、「3/4以上」「1/2未満」を繰り返すことになり、収束しないわけです。
一方、(3)の条件を満たしていれば、anはいずれbの値に到達して以後不変です。つまりbに収束するというわけです。
以上から、anが収束する必要十分条件は、(3)の条件そのものだとわかります。
<筆者の解答>