ちょぴん先生の数学部屋

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平成の東大理系後期数学 -1997年-

このシリーズでは、東京大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

11回目の今回は1997年です。

 

第1問

 

隣り合った正三角形のマスを次々に塗りつぶしていく問題です。

 

(1)実際に塗りつぶした図形を書いていくと、n回目に3n個の正三角形が追加されることが分かります。

 

(2)これはなかなか難しいです。

an/bnはきっと収束してくれるだろうと考えて、bnを不等式評価して挟み撃ちすることを考えます。

 

まず、言うまでもなく最初の段階で塗られた枚数に差があるのでan<bnは言えます。あとは、bnを上からどう抑えるか?

 

(1)の結果からanはnを大きくすると際限なく大きくなることが分かるので、anはいつかはb1を上回り、かつb1全体を包み込むまでに大きくできます。そんなnをkと定義すると、この後bnがいくら大きくなってもak+n-1はそれ以上のスピードで大きくなっていくので、bn<ak+n-1と上から押さえされます。

 

ここまでくれば、an/bnが必ず収束すると分かります。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

三角形の面積の値域を調べる問題です。

 

(1)D(-α,1/α),E(β, 1/β)とおいてB,Cの座標を求めると、Aの座標と△ABCの式をα,βの式で書くことができます。t=β/αとすれば文字を1文字で統一でき扱いやすくなります。

 

tの範囲は、Aのx座標がDとEに挟まれるという条件から求まります。

(※問題文にDはA,Bと一致しない、EはA,Cと一致しない、という文言が特にないので、等号付きでtの範囲を求めました。これに違和感のある人は、答案の各最終結果の左側の等号を無視してください)

 

(2) △ADEの面積も(1)同様tの式で書けるので、微分して増減を考えます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

確率の問題です。扱う数字が大きいため、手計算でやり切るのはかなり厳しい問題です。「下2桁」せめて「下3桁」くらいにできなかったのか・・・・

 

(1) N=10000のとき、1~10000の数字で下4桁が被る数字はないので、単純に同じ数字が2回選ばれればOKです。

 

(2) N=10001のとき、1と10001のみが下4桁が被り、他の数字は被りません。ここからpN自体は簡単に求まり、差を取れば大小も何とかなるでしょう。

 

その差を実際に計算する過程で4桁÷9桁の割り算の実行が要求され、少々面倒です((3)以降の計算地獄に比べれば、序の口レベルですが)

 

(3) 10001≦N≦20000の時は、N=10000+mと表現でき、(1, 10001), ・・・(m, 10000+m)までが下4桁が被る数字たちです。ここからpNが求まります。

 

pNの最大最小を見つける問題では前後の差や比を取るのが定番ですが、今回の場合はどちらも式が面倒で旨味がなさそうです。

 

なのでpNをNで微分して最大となるNのアタリをつけてあげるのがよいでしょう。するとN=13333かN=13334の時にpNが最大となると分かるのですが、この2つの大小は実際に計算してみないと分かりません。ここで5ケタ^2の計算が要求されるので、なかなか手計算では厳しい所です。

 

(4) (3)と同様にN=10000M+m (mは0以上9999以下、Mは2以上)の時のpNの式を求めます。するとpNがMとmの式で求まるので、より処理の簡単な「M固定m動かし」でpNの最大最小を探っていきます。

 

<筆者の解答>