このシリーズでは、名古屋大学の後期の数学の問題を解いていきます。
9回目の今回は1996年です。
(99~97は問題未入手)
第1問
正N角形を転がしたときの、1頂点の軌跡の長さを考える問題です。
(1) Aiの軌跡はいずれも扇形の弧になるので、それぞれの中心角と半径を考えていきましょう。
(2) 1回分回転するごとにAn-1は、A1,A2,・・・,An-1の立場を全て経験することになるので、LNは(1)の結果の合計になります。
(3) 区分求積法でよいでしょう。An-1の軌跡はn→∞で「サイクロイド」になるので、最終結果もサイクロイドの長さと一致します。
<筆者の解答>
第2問
1次変換に関する問題です。
(1)fの式の両方に(a,b)を代入して解きます。
(2) (1)の結果を使うと、UPn+1 =1/2A×UPnとなります。このときAは角度αだけ回転させる行列になります。
(3) (1)の結果を使ってαを消去してa,bだけの関係式を求めます。
(4) これまでの結果を総動員するとSn, Sがαの式で求まるので、あとは微分でよいでしょう。cosα=tと変換すると見通しがよくなります。
<筆者の解答>
第3問
微分方程式の問題です。
(1)時刻tからt+ΔtでのAの水量の変化を関係式にすると、微分方程式が求まります。先んじて水量と水深の関係性を調べておくとよいです。
(2) (1)の結果を使って、同様に微分方程式を立てます。
(3)水面の面積は、水深×πと書けるので、これを利用して微分します。
<筆者の解答>
第4問
ランダムウォークを題材にした確率の問題です。
(1) 要は、Qが(0,0)にいるか(±1, ±1)のいるかのいずれかになります。
(1,1)方向に動く、(1,-1)方向に動く、(-1,1)方向に動く、(-1,-1)方向に動く、の4つの現象が何回起こればよいかを調べていけばよいのですが、Σ計算が進まないので、そのままで解としました。
(2)申し訳ありません。この問題については解けませんでした。
pn+1=1/4qnとなることはすぐに分かるのですが、qn+1については(0,0)からくる場合と、(±2,0),(±2,±2), (0,±2)からくる場合の両方があり、後者がうまく決まらない、という経緯です。(1)の結果から無理やり抽出する方法も試しましたが、それもうまくいかず。
推測ですが、問題文には本当は「OQ>√2に一度もならない」という(3)同様の設定があったのではと思います。
(3) 「OQ>√2に一度もならない」前提であれば漸化式を立てるのは容易なので、解くことができます。
<筆者の解答>