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平成の医科歯科大数学 -2009年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

14回目の今回は2009年です。

第1問

 

円と球が、必ず格子点を含んでしまう半径の条件を考える問題です。

(2)以降よりも(1)の方が難しい問題だと思います。

 

(1)4つの格子点からできる1×1の正方形と半径0.5の円の位置関係を調べれば周期性から十分です。

円の中心のx座標が整数か、整数の半分か、それ以外かの3通りの場合分けで、円の中心のy座標の条件を調べていきましょう。

 

(2) (3)格子点を1個も含まないようにできる半径の最大値を考えていきます。

 

(2)の平面の時は1×1の正方形の中心に、(3)の空間の時は1×1×1の立方体の中心に円や球の中心を置くとよいでしょう。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

整数問題で、今回のセットの中で最難問だと思います。

 

(1)実際にg(x)を計算すると、g(x)が1次式であることはすぐに分かります。あとは、各係数が整数になっていることを示せばよいです。

 

条件Cが成立しているとき、最低でもg(1)とg(2)が整数になっていないといけないので、そこからg(2)-g(1)が整数だと分かり、6a(g(x)の1次の係数)が整数だと分かります。

 

g(x)はxが3で割り切れない整数の時整数値を取るので、g(x)の定数項=g(x)-6axも整数になります。

 

(2) 扱う文字がa,b,cのままだと、「実数」なので範囲が広すぎて考えにくいです。なので、(1)の結果を使って、a,bを整数A,Bを使って表現することで考えやすくしてあげます。

f(1)=1のとき、cもA,Bの式で書けるので、この時点でf(1), f(4), f(7),・・・が全て整数になることは保証されました。

ここまでの議論で、f(2)が整数になることについては何も触れていなかったので、そうなるためのA,Bの条件をさらに詰めていきます。f(2)が整数なら、(1)からf(5), f(8),・・・も整数になって、Cの条件が必要十分にクリアできます。

(※g(2)=f(5)-f(2)が整数だからと言って、f(2)が整数とは限らないので、別個に調べてあげる必要があります)

 

あとは、今まで使っていなかったa>0, b>0, c>0を適用すると、A,Bの組み合わせを絞ることができます。

 

(3)C'とCが同値になる条件を探るのですが、C'側から掘り下げてCに近づけていくのは非常に厳しそうなので、C側から掘り下げてC'に近づけていきます。

 

a+b+c=f(1)となっていることに注意すると、Cを必要十分に満たすf(x)の形は(2)までの議論の類推から整数A,Bを使って書くことができます。

 

すると、aとbがA,Bの式で書けているので、あとはm1×bとm2×a+m3×bが、任意のA,Bについて整数になるようなm1~m3の条件を求めてあげれば、CがC'と同値になります。

 

(4) (2)と同じ発想で、a>0, b>0, c>0となるような(A,B)の組み合わせの個数を探していけばよいことになります。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

三角関数の、絶対値付き積分を計算する問題です。

 

(1) f'(x)を計算するとsinxの2次式にできます。t=sinxとしてあげると、問題文のxの範囲ではtとxは綺麗に1対1対応するので、結局f'(x)=0が-1<t<1の範囲で2つの実数解を持つようなaの条件を調べる問題に帰着できます。

判別式、軸の位置、端点の符号の3つの観点で条件を絞っていきましょう。

 

(2) f(x)の符号が切り替わる瞬間のxをθとおいて、区間を分けて積分していきます。

 

(3)f(x)のグラフを書くとα<θ<βとなるので、それを使って計算していきます。また、sinαとsinβがf'(x)=0の解になることから、解と係数の関係を使うことができます。

 

<筆者の解答>