ちょぴん先生の数学部屋

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平成の医科歯科大数学 -2007年-

このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。

 

16回目の今回は2007年です。

第1問

 

直円錐の側面積に関する問題です。

 

(1)求めるものはあくまで「側面積」なので、底面積を足さないように注意しましょう。

展開図を描いて、母線と底面半径の関係から側面の中心角を求めればよいでしょう。

 

(2)今回は「表面積」なので、底面積もしっかり足します。側面積については、ABを延長してできる円錐を考えることで(1)の結果が使えます。

 

(3)説明こそ長いですが、結局(2)の図形の一般形になります。今回は「側面積」のみです。Qの座標を(√3cosθ, √3sinθ)とパラメータ表示して(2)の要領でSをθの式で表現できます。Sの式はcosθだけの式にできるのでt=cosθと変換してから微分したほうが見通しが良いです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

 

確率の問題で、直前の進行方向によって確率が変化していく設定の厄介な問題です。

 

(1)n=1については経路がそれぞれ1通りしかないので楽ですが、n=2のときは、経路が複数出てくるので過不足なく調べる必要があります。特に(0,0)から(1,0)に移動する経路は、直接右に動く経路だけでなく、「上→右→下」、「下→右→上」という迂回路も存在するので要注意です。

 

(2)考える経路の数はx座標の最大値が小さければ小さいほど少なくなります。なので、直接x=2やx=3に到達する経路を考えるよりも「x=2やx=3に到達できない」経路を考えた方が楽なはずです。

 

つまりx=0,1,(2)の時点でy=±2にQが吸われてしまうような経路を考えてあげます。

 

(3)これも方針立ての時点で難儀する難問です。

 

一見すると、求める確率をqmとして「qmの漸化式を立てよう」という方針で行けそうな気がしてきますが、これではうまくいきません。

 

何故かというと、(m-1,0)を踏むことなく(m,0)に着地できる経路が存在するからです。同様に、途中x軸に何度着地するのかも考えないといけなくて、qmの漸化式がうまく立たないのです。

 

かといって、経路を直接数えようとしても、「右に動く」確率が直前の進行方向によって変わってしまうので、確率計算に難儀することになります。

 

ここで「(1)のpn, pn'からqmを間接的に計算できないか?」と発想を切り替えてみます。qmはpmとpm'を使って書けるので、pmとpm'の漸化式からそれぞれ一般項を求めればよさそうです。とはいっても、この漸化式を立てるのもなかなか苦労しますが。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

行列を利用して、方程式の整数解を求める問題です。

 

(1)与式はAの成分の情報を引き継いでいて、なおかつa,cの2次式なので、NAM=Bの形で計算すればうまくいきそうです。

 

(2)今度はBの成分の情報を引き継いでいるので、A=N^(-1)BM^(-1)の形で計算すればよさそうですね。

 

(3) (2)の結果から(a,b)の組の候補が決まり、同様に(c,d)の組の候補も決まります。その中でad-bc=1と(2)の残りの成分の関係式を同時に満たすものを探っていけばよいでしょう。

 

(4) (x,y)と(X,Y)の変換式を(x,y)=の形にして方程式に代入してあげればよいでしょう。

 

(5)変換式から、(X,Y)が整数になることと(x,y)が整数になることは完全に同値になります。よって、(4)の結果を満たす整数解(X,Y)を(x,y)に変換してあげればOKということになります。

 

<筆者の解答>