このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。
19回目の今回は2004年です。
第1問
いわゆる「第2種チェビシェフ多項式」に関する問題です。この年のセットは後続の第2問、第3問が重量級なので、この第1問が解けてないと厳しかったかと思います。
(1)n=1,2を代入して2cosθの式で表していきます。
(2)sinx/x→1 (x→0)を利用する典型的な極限計算です。
(3) θ=0のときにx=2となるので、(2)の結果を利用すればよいでしょう。
(4) 因数定理を使った典型問題ではありますが、若干厄介な面もあります。
x=1を代入した式とx=2を代入した式とを連立すればよいのですが、fn(1)の値がnによって変わるので場合分けが必要になります。
<筆者の解答>
第2問
格子点に関する集合の問題ですが、医科歯科らしい難問です。
(1) fk(x)のグラフは、g(x)のグラフをx軸方向y軸方向のそれぞれに+kずつ平行移動したものとなり、ベースとなるg(x)には(0,0), (1,-1),(-1,1),(m,m)(|m|:2以上の整数)という格子点があります。
なので、y=fk(x)上の格子点は、(k,k), (k+1,k-1),(k-1,k+1),(k+m,k+m)と書くことができます。その中でx座標とy座標の異なるものは、(k+1,k-1),(k-1,k+1)の2つだけです。
(2) f4( f3(m) )=nとなる(m,n)の組み合わせを調べていくのですが、g(x)の性質からm-3が「絶対値が2以上」「1」「0」「-1」のどれになるかによる場合分けが発生します。
(3) (2)と同様にm-3の値による場合分けに加えて、今度はkの値による場合分けも必要になって非常に面倒です。最終的にはkの値によってT3,kの中身を分類していくことになります。
他方S3USkについては、kの値によってはダブりが発生するので注意が必要です。
(4)こちらも結局(3)と同じような場合分けをしてTk,3の中身を分類して、(3)の結果と見比べていくほかありません。
発想自体がとんでもなく難しいわけではないのですが、とにかく場合分けが煩雑で時間がかかる、という類の難問でした。
<筆者の解答>
第3問
折れ線の長さの最小値について考える問題です。こちらも(3)が中々に面倒な問題です。
(1)折れ線の長さを考える時は「対称な点を考える」というのがある種定番です。今回の場合は、A'(1,2a)という点を設定してあげるとAP=A'Pとなり、A',P,Bが直線になるか折れ線になるかで大小を判別できる、という流れになります。不等式はP=Mのときに等号成立するというのが、(3)で重要になってくる情報になります。
(2)こちらはPの座標を文字でおいて、AP+BP+MPをそれで微分して増減を考える戦略でいけます。(※(1)だと、折れ線の長さの合計が√+√の形になって微分しても増減が把握しにくいため、この解法を採用しない方がよいですね)
ただ、aの値によって場合分けが発生することを見落としがちなので要注意です。
(3)Pのy座標をp, Qのy座標をqとして、与式を最小化していくことを考えます。p>qとしてしまうと長さが余分に増えてしまい明らかに最小化に不利になってしまうので、p≦qで考えることにします。
まずはp,qを固定した上でP,Qのx座標を調整することを考えます。このとき、PQの長さは斜めにならずにy軸に平行になるときが一番短いですね。そしてその時、(1)の結果を使うと、PとQがそれぞれy軸上にいる時がAP+BPとCQ+DQが一番短くなります。
これでx座標が固定できたので、次にp,qを動かしていきます。予選決勝法の考えで、qを固定してpを動かすことを考えます。このとき、(2)の結果からqの値によって与式を最小化するpが異なることに注意が必要になります。
それぞれの場合でqを固定したときの与式の最小値が求まるので、最後にqを動かして最小化し、お互いを比較すればお終いです。
<筆者の解答>