このシリーズでは、東京医科歯科大学の数学の問題を解いていきます。
29回目の今回は1994年です。
第1問
確率の問題ですが、(1)が難しいですね。
(1) 方針としては大きく2つあると思います。1つは場合の数から直接計算する方法、もう1つは漸化式を立てて解く方法です。ただ、後者の漸化式の場合は、nの番号も変化する上にx,yという座標値も変化するので解きづらく分が悪そうです。ということで、今回は直接場合の数から計算する方法を採用することにします。
(X,Y)=(表,表),(表,裏),(裏,表),(裏,裏)となる出方がそれぞれa,b,c,d回出るとすると、a+b+c+d=nとなってそのときのAの座標は(a+c,a+b)と書けます。これが(x,y)になるので、aを固定するとb,c,dが全部x,y,n,aの式で書けます。aを固定したときの確率は計算できるので、あとはaを動かして足し合わせていくことになります。
ただ、aの取りうる値の条件(b≧0, c≧0, d≧0)による場合分けをする必要があるのと、特にΣ計算が初見では難し過ぎるでしょう。
このタイプのΣ計算には、実は「ヴァンデルモンドの畳み込み」という公式があって、それを使うと綺麗に計算ができます。(以下参考文献)
ヴァンデルモンドの畳み込みの3通りの証明 | 高校数学の美しい物語 (manabitimes.jp)
が、こんな計算方法は受験生には一般的にあまり知られていないため(僕自身、今回の問題で初めて知りました)、この公式を知ってる人じゃないと綺麗に答えを計算できない、という問題でした。
(※最終結果の形を見ても、やはり「漸化式」での解法が分が悪そうだったなと分かりますね)
試験場では、部分点狙いがせいぜいでしょうね。しかし、(1)が完璧に解けなくても、(2)はできますし、(3)も力づくで何とかなりますので、あまり悲観しなくても大丈夫です。
(2) (b1, b2)を(1)で使ったa~dを使って表せれば勝ちです。
(3) (2)の結果から(b1, b2)=(0,0)は(a1,a2)=(5,5)に変換できるので、(1)の結果に代入すればよいでしょう。(1)でΣ計算ができてなくても、ここで具体的な数値が入れば、一応力づくで計算できるでしょう。
<筆者の解答>
第2問
平面の交線、なす角に関する問題です。
(1) l1,l2の方向ベクトルをそれぞれ求めて、それらが直交する条件を考えます。
方向ベクトルは、x=pを代入するとy,zがそれぞれpの定数倍で求まることから計算できます。
(2)平面のなす角は、平面の法線ベクトルのなす角を使って調べるのが基本です。それぞれの法線ベクトルを調べ、そのなす角を考えていきましょう。
<筆者の解答>
第3問
対数関数の接線に関する問題です。
(1)Cのx=tでの接線を調べ、それがlと一致するようにtを決めていきます。
(2) (1)の結果を使いつつ図に描いて積分計算です。あとは微分で増減を調べればお終いです。
(3) (1)の結果から接点の座標(X,Y)がaでパラメータ表示できています。そこからaを消去して関数を求め、さらに取りうる値の範囲をチェックしてグラフを書いていきましょう。
<筆者の解答>