ちょぴん先生の数学部屋

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平成の京府医大数学 -2004年-

このシリーズでは、京都府立医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

19回目の今回は2004年です。

(手書きでの問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます!)

第1問

4次関数と2点で接する直線に関する問題です。

 

(1) y=f(x)とy=px+qの式を連立すると、(x-α)^2*(x-β)^2=0と変形できる、ということに気付けるかがキーポイントです。これに気付けると、y=f(x)とy=px+q+hを連立すると(x-α)^2*(x-β)^2=hとなるので、結局y=F(x)=(x-α)^2*(x-β)^2とy=hが4つの交点を持つようにhが取れることを説明すればよいことが分かります。

 

(2) (1)で考えたF(x)=(x-α)^2*(x-β)^2は、x=(α+β)/2について対称になっています。なので、y=f(x)とy=px+q+hの交点x座標は、x=(α+β)/2±s, (α+β)/2±tという、(α+β)/2について対称な2組で求まることが分かります。

 

これをもとに、面積をそれぞれ計算して一致することをチェックしていきます。

 

<筆者の解答>

 

第2問

球面に接する直線に関する問題です。

 

(1)△ABCは原点を中心とした正三角形なので、球面Sも四面体ABCHもz軸の周りに回転対称なことが分かります。なので、BCさえSに接していればAB,ACも自動的に接することになり、同様にHAさえSに接していればHB,HCも自動的に接することになります。これによって、考えるべき接線が6本から一気に2本に減り、BCが接する条件とHAが接する条件さえわかればよいことになります。

 

Sの式をx^2+y^2+(z-c)^2=r^2として2つの条件を調べることで、rとcの連立方程式ができます。先にcを求めた方が速いですが、2種類出てきてしまいます。ここで、今まで使っていなかった「接点が四面体の辺上にある」という条件を使うことで1つに絞ることができます。

 

とにかくrの式を求めるまでの道のりが長く、計算もかなり煩雑です。

 

(2) (1)の結果をhで微分すればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第3問

条件から関数を求めていく問題で、発想寄りの問題です。

 

(1) どんな自然数Mについても、logMには整数部分が存在します(logは2を底とします)。その整数部分をpとすれば、p≦logM<p+1⇔2^p≦M<2^(p+1)となります。n^kはMの特別な場合に過ぎないので、これで題意が示せたことになります。

 

(2) (1)の結果2^p≦n^k<2^(p+1)に対して、(i)~(iii)を使うと、2^p≦{f(n)}^k<2^(p+1)となります。意味することは、「n^kと{f(n)}^kの整数部分は等しい」です。

 

これが「任意の」n,kについて成立するらしいのですが、kが大きいと、もしnとf(n)が違っていたらn^kと{f(n)}^kの差が馬鹿デカくなって、とてもじゃないけど「いつも整数部分が同じ」なんて起こりそうにないな、と想像できるわけです。

 

次が発想ポイントなのですが、n,kが何でもいいのに対して、pはn,kの値に応じて決まる従属的な数になっています。となると、「pは邪魔だから消したいね」と思うわけです。

pを消去は、2^p≦n^k<2^(p+1)と2^p≦{f(n)}^k<2^(p+1)で比を取ることで実現できます。つまり1/2<{ f(n)/n }^k <2とできます。

 

このとき、もしf(n)=nにならないnが存在するとしたら。kは何でもいいので、思い切ってk→∞としてしまいましょう。すると、f(n)≠nとなるnについては{ f(n)/n }^k は∞に発散するか0に収束するかになり、どっちにしても「常に1/2より大きく2より小さい」は満たせなくなります。これで、どのnに対してもf(n)=nとなることが必要だと分かりました。

 

逆にこのとき、件の不等式も、(i)~(iii)の条件も、すべてクリアできています。これで十分性も確かめられました。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

関数の交点と面積について調べる問題です。

 

(1)f(x)=ax^2 -xlogxとして、f(x)の増減を調べていきます。f''(x)まで調べるとf'(x)の最小値が分かるので、この最小値が0以上か負になるのかで場合分けが発生します。さらに負になるときは、f(x)の極小値の符号を考える必要があります。

 

・・・・とやったのですが、よくよく考えると、C1とC2の交点x座標はax=logx⇔a=logx/xの実数解となるので、この方程式が2つ解を持つaの条件を探しに行った方がはるかに簡単に求まりましたね笑

 

(2) (1)で使ったf(x)で、f(p)=0, f(p^2)=0が両方成立するようなa,pを調べていきます。

 

(3)図を描いて定石通り積分していきます。logの入った積分は部分積分でlogを解消するのが基本です。

 

<筆者の解答>