このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。
5回目の今回は2018年です。
(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)
第1問
3次方程式の解に関する問題です。
3つの解をa, ar, ar^2とおくと、解と係数の関係からaとrの関係式と、p,qの式がa,rを使って求めることができます。
あとは、この3つのうち、どれが4になるかで場合分けして検討していきます。当然ながらa,rは実数なことに注意します。
<筆者の解答>
第2問
確率の問題です。
(1)ベクトルを使ってSを計算していきましょう。
(2)Sはa,b,cについて対称な式になっているので、a<b<cとして考えても一般性を失いません。そうすると、Sは実質b-a, c-b, c-aという3つの数の積になるので、最小にしたければこの3つをできるだけ小さく、最大にしたければこの3つをできるだけ大きくするようにしてあげればよいことになります。
但し、c-a=(b-a)+(c-b)となっているので、この3つのうち独立なのは2つだけなことに注意です。
(3)余事象「Sが偶数にならない」を考えた方が見通しが良いと思います。Sが偶数にならないのは、(b-a)×(c-b)×(c-a)が4で割り切れないときで、奇数になる場合と4で割り切れない偶数になる場合に大別されます。
前者については3つとも奇数になる時なのですが、前述のc-a=(b-a)+(c-b)により実現しません。
後者については、3つのうち1つだけが(4で割り切れない)偶数で残り2つは奇数となります。さらに、一番大きいc-aですら5以下なので、この偶数は2だけに絞れます。
<筆者の解答>
第3問
積分方程式の問題です。
この手の問題は、x=0でのf(x)たちの値を調べた上で、両辺をひたすら微分していくのが定石なのですが、積分の中にxが入っているのでいきなり微分することができません。
ここは、s=x-tと変数変換することで、xをsinの方に押し付けて展開し、xの入っている係数を積分の外に追い出すとよいでしょう。
今回の場合、2回微分すると元のf(x)の形が登場するので、f''(x)が綺麗に求まることになります。
あとは、f(0), f'(0)の値に注意して、f''(x)を2回積分してあげればよいでしょう。
<筆者の解答>
第4問
複素平面に関する問題です。
(1) w=it, z=x+iyとおいて式変形していくと、実部=0、虚部=0の条件からzの軌跡を調べられます。最終的に0と2が除外されることに注意しましょう。
(2) (1)の結果からzを三角関数を使ってパラメータ表示できます。
それを利用してS(z)をベクトルと同じ要領で計算できるので、微分して増減を調べていきましょう。
<筆者の解答>
第5問
楕円を題材にした図形問題です。
第4問までは日医にしては易しめの問題が続いていましたが、最後の最後でヘビー級の問題が来ましたね。。。
(1)座標を設定してCの式を調べることが第一歩です(A,Bがx軸上に原点対称に配置されるように座標を組むのがベストです)。
その上で、Cを、Aを中心とした極方程式で表現することが目標です。するとlを偏角θの式で表現できるので、そこからlの範囲を調べられます。
(lとθの関係式をcosθ=(lの式)で表現して、-1<cosθ<1となるようにlの範囲を逆算する、という方法も取れます)
(2) (1)で求めたCの極方程式をフル活用していきます。
θを-(π-θ)で置き換えてあげればAQが調べられることが視覚的に分かり、そこからsが調べられます。
さらに、楕円の性質からAP+BP=4が常に成立するのでBP=4-lとできて、Cがy軸対称なので、sの式でlを4-lに置き換えてあげればtが求まることになります。特にこの発想が思いつければ労力が大幅に節約できます。
(3) 座標で解こうと思っても式が複雑になって大変そうですね。せっかく(2)で線分の比を調べているので、もう座標から離れた純粋な図形問題として処理してしまいましょう。
ベクトルの表式を調べるには、もう1個比の情報が必要になりますが、メネラウスの定理を使うのが最も簡便でしょう。
(4) △PQRの面積をベースに、底辺の長さの比からT1, T2を調べていけばよいでしょう。最終的に求まるlが、(1)の範囲に収まっていることの確認も忘れずに。
<筆者の解答>