ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の日医大数学 -2009年-

このシリーズでは、日本医科大学の数学の問題を解いていきます。

 

14回目の今回は2009年です。

(問題文を提供して下さったせがわさん、ありがとうございます。)

第1問

小問集合です。

 

(1)2進数を7で割った余りを考える問題です。

アについてはn=3が最小だとすぐに分かり、合同式で書くと2^3≡1 (mod7)となります。この式を利用してイ~エを考えていけばよいわけです。その心は、2^3の塊を作ってしまえば、合同式の中ではそれが1に置き換えられる、ということです。

 

エについては、上記の考え方からすると、2^2009を3で割った余りの情報が必要になってきます。

 

(2)確率の問題です。aとbの確率分布を調べていけばよいでしょう。

 

(3)数列の極限の問題です。

問題文の指示に従って漸化式を作って、nが偶数の場合、奇数の場合それぞれに帰着させてあげればよいです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

空間内の円周上の2点間の距離に関する問題です。

 

(1)問題文が分かりにくいですが、要するにPについてはx軸の正の向きから反時計回りに、Qについてはy軸の正の向きから反時計回りとなります。

 

(2) (1)の結果をひたすら計算していくと、θの入ってる部分がsinθcos(θ+α)だけとなります。問題文の指示で「θが1回だけ出てくる式にしろ」と言われているので、上記を和の形に書き換えてあげればよさそうです。

 

(3) (2)の指示によってθが1か所に集まったので、値域を調べるのが容易くなります。

 

(4)いかにm,Mの条件に読み替えていくかがポイントで、mとMが絶対値が含まれた式になっている故、場合分けが発生します。

(a) つねにlが1~√3に入っているには、1≦√m≦√M≦√3であればよいです。

(b)逆を考えてあげれば見通しが良いでしょう。つまり常にl>1/√3となる条件を考えていきます。この条件が√m>1/√3なので、それを逆にした√m≦1/√3が考えるべき条件となります。

 

(5) m=0を処理するとsinα=-1が分かります。これを使ってlを計算していって与式の積分を計算していくと、最終的に、∫|sinθ|dθ (θ=0~t)を考えることに帰着します。

この積分は綺麗に計算できないので、はさみうちの適用を考えていきます。

 

そのやり方に経験が要るのですが、nπ<t<(n+1)π (n:自然数)としてあげると両端の積分がうまく計算でき、はさみうちに持ち込めます。

この積分は、0~πでの積分値をn倍したものになることが、グラフを描くと理解できます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

放物線で囲まれる面積に関する問題です。

 

(1)Caは、Oからの距離とy=aからの距離が等しい点の軌跡なので、そこから式が求まります。あとは連立してあげればよいでしょう。

 

(2)グラフを描くことで積分計算で面積を計算できます。

 

(3)Sを積分で直接計算するのは大変なので、(2)の結果をうまく使って図形的に解くことを考えましょう。

極限計算については、ナイーブに計算すると0/0の不定形になってしまうので、Sの式の分子をできる限り有理化して、r^2を露出させてあげましょう。

 

(4) (1)の結果を(X,Y)としたときに、a,bをX,Yの式で表現することを考えていきます。それらをf(a,b)<4に代入してできる条件こそが、求める領域になります。

 

a,bはほとんど対称的な関係になっているので、X,Yの式で表すには解と係数の関係を利用してあげればよいですね。

 

<筆者の解答>