ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の奈良県立医大後期数学 -2020年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

3回目の今回は2020年です。

第1問

1次不定方程式に関する問題です。

 

このタイプの方程式は無数の整数解(x,y)の組を持ちます。両辺をaで割った余り、あるいはbで割った余りを考えることで、この解の一般形が求まります。

 

あとは、x,yが同時に0以上になりえないことを説明すればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

点列の極限に関する問題です。

 

(1)△A0B0C0は正三角形になっていて、定義から次々に小さな正三角形ができていきます。これに気付ければ一本道です。

 

(2)以降は、申し訳ありません。まともに解けておりません。

rnは、xA, xB, xCの最大値と最小値の差になっていて、(2)ではそれを不等式評価して、(3)ではそれを使って極限を考える流れです。

 

(2)の結論からrnが0に収束することが分かるので、xA, xB, xCが1つの値に潰れることが分かります(あるいは全部∞に発散する)。この議論はy座標に関しても同様です。そして、おそらくですが、次々と新しい相似な三角形ができていって最終的には重心(外心や内心の可能性もなきにしもあらず)に収束するんだろう、と予想は出来ます。

 

(2)については、xA, xB, xCのそれぞれを不等式で挟んで評価しようと試みましたが、どうしてもrnが余計に右辺に1個残ってしまってうまくいきませんでした。評価が甘かったわけですが、これ以上厳しい評価の仕方を思いつけませんでした。

 

(3)も上記のロジックで、極限が等しい事は分かっても、極限値の特定まではできずでした。(元の漸化式に全部極限値を代入しても、恒等式になるだけで無意味です)

 

機会を改めて考え直してみようと思います。

 

<筆者の解答>

 

第3問

整式の因数分解に関する問題です。

 

(1)対称性が高いが故にかえって方針に迷ってしまうかもしれません。そんなときは初心に帰りましょう。「ある1文字について整理して因数分解する」です。結果、F1=(x+y)(y+z)(z+x)と因数分解できます。

 

(2) (1)と同様に考えればFnも因数分解出来、結局x^n+y^nたちの積となります。nが奇数なら、x^n+y^nが因数分解出来てx+yで割り切れますよね。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

数列の最小周期に関する問題です。

 

(1)周期がqなら、任意のnについてan=an+qが言えます。ここに最小周期の情報an=an+pを何度も使うことで、an=an+q-mpとできます。但し、mはq-mp≧0かつq-(m+1)p<0となるような自然数です。

このときに、q-mp>0だとqがpで割り切れないことになるので、この仮定を置いたときに矛盾することを説明します。具体的には「最小周期pより短い周期が作れてしまう」という矛盾です。

 

この矛盾を導く背理法を、この問題では何度も使うことになります。

 

(2)anで番号をi個分だけずらした数列を考察する小問です。これについても、an(i)とan(j)が一致してしまうようなi,jがあると仮定して、(1)と同じ矛盾を導いていきます。

 

(3) (2)の結果を利用します。

まず{an}の総数は、a0~ap-1のp個の項に1~cまでのc通りの値を当てはめるので、c^p個存在します。このうち、最小周期が1ではなくpとなるものは、a0=・・=ap-1となるc通りを除いたc^p -c個あります。

 

このとき、a0~ap-1を固定すると、番号を1つずつずらして出来る数列an(0)~an(p-1)は、(2)から全部異なっているので、この時点でp通りの数列が作れます。

 

あとはa0~ap-1の中身の数字を色々変えたものに対しても、それぞれp個ずつ対応する数列があることになるので、結局それらの総数c^p -cはpの倍数だと言えることになります。

 

この結論はcがpの倍数なら当たり前の話ですが、cがpで割り切れない場合には「フェルマーの小定理」という名前が付いています。

 

<筆者の解答>