ちょぴん先生の数学部屋

数学の楽しさを、現役メーカーエンジニアが伝授するぞ!

21世紀の奈良県立医大後期数学 -2019年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の後期の数学の問題を解いていきます。

 

4回目の今回は2019年です。

第1問

ガウス記号と2次方程式の融合問題です。

 

(1)2次方程式の判別式はD(p)=[p]^2 - [p]^2となるので、これが必ず0以下になることを証明します。[p]≦p<[p]+1の関係を利用して、[p^2]の値の取りうる範囲を調べていきましょう。

 

(2)k=n+α(0<α<1)として、D(k)の値が0から始めて-1に切り替わるようなαを調べてあげればよいです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

積分の不等式評価に関する問題です。

 

2つの条件から、f(x)は0以上の値を取りつつ単調減少する関数だと分かります。

 

(1)f(x)が恒等的に0にならないので、積分が正になるのは当たり前です。

 

(2)右辺をいずれも長方形の面積と解釈すれば、視覚的に証明できます。

 

(3)申し訳ありません、この小問は解けておりません。

(2)の不等式を利用すると、1-(正の値)<与式<1と評価できるので、この「正の値」が0に収束すれば証明終了なのですが、この「0に収束」を証明できるような不等式評価が全く思いつきませんでした・・・

 

<筆者の解答>

 

第3問

複素数の「複素数進法」について考える問題です。

 

(1)z/(i-1)の実部虚部が整数になるようにa,bを決めていきます。

 

(2) 与式をw'としたとき、(1)と同様にw'がMに含まれる条件を調べ、かつ|w'|≧|z|を式変形して、a,bを絞り込んでいきます。

 

(3)複素数をi-1進法表示していくのが、本問の趣旨です。

正直自信がありませんが、方針としては数学的帰納法です。つまりa+biが題意を満たすとすれば、aやbを1ずつずらした複素数も題意を満たす、という論法ですね。

 

ということで、まずは±1や±iの題意を満たす和の形の表示を考えていきます。これらを足し引きすると係数が2になる箇所が登場し、最終的にはこの2も解消しないといけないので、2についても表示を求めていきます。(i-1)の小さめの累乗を具体的に計算して試行錯誤することが必要です。

 

自信がないのは、「2を最終的に解消しきれるのか」「解の表示方法が本当に一意なのか」の2点ですね。後者は直感的には当たり前ですが、いざ証明せよとなると・・・

 

<筆者の解答>

 

第4問

順列の個数を数える問題です。この問題も解けたといえば解けたんだけど・・・という感じの歯切れの悪さになってしまいました・・・このセットは全体的に完答しきるのが至難です。

 

F(σ)は、要するに数字とその番号が一致してるものの個数となるので、F(σ)=kとなるような並べ替えσの個数mkを調べるのが主な作業となります。このmkを使うと、Σk×mkを計算すればよいことになります。

 

さて、このmkは、「番号と数字が一致するk個の選び方」×「一致するk個を固定したときの残りn-k個の並べ方an-k」で計算できるのですが、後者の計算が面倒です。

 

akはいわゆる「完全順列」というもので、漸化式から一般項を求める格好になります。その求め方は下の引用記事に記載があります。

(参考記事完全順列(攪乱順列)とは?【漸化式から導く一般項の美しい性質】 | 遊ぶ数学 (integraldx.info) )

 

その一般項がシグマで書かれているので、最終的に求める計算は2重のΣの形になります。これをうまく計算できなかったので、Σが入った形そのままで答えにしてしまいました・・・

 

どうもこの大学の問題を解くには、私の実力が力不足のようです。

 

<筆者の解答>