ちょぴん先生の数学部屋

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21世紀の奈良県立医大前期数学 -2001年-

このシリーズでは、奈良県立医科大学の前期の数学の問題を解いていきます。

 

22回目の今回は2001年です。

第1問

小問集合です。

 

(1)確率の問題です。

サイコロAでXが、サイコロBでYが出る、とサイコロを区別して考えてあげれば、こうなる確率は全て1/36なので、あとはそれを使って期待値を計算していきます。

 

(2)指数関数の問題です。

両辺で常用対数を取ってnの評価をするというのが常套手段ですね。

 

(3)行列の混じった方程式の問題です。

一見すると行列ですが、左辺を計算しきれればただの1次方程式になります。解がないのは、xの係数が0になるときですね。

 

<筆者の解答>

 

第2問

関数の関係式に関する問題です。

式の形は三角関数の加法定理と同じで、実際s(x)はsin, c(x)はcosを彷彿とさせる関数になっています。これを念頭に置くと考えやすいかもしれません。

 

(1)x=y=0とした式を考えてあげればよいでしょう。s(0)が0でないと仮定すると矛盾することからs(0)=0を確定させます。

 

(2)y=0としてあげればよいでしょう。

 

(3) (1)と(2)の結果から、この仮定の下ではc(0)=1となります。その時にy=-xとしてあげれば証明できます。

 

(4)これは初見では難しく、かなり試行錯誤しました。

何が難しいかと言えば、s(x)^2+c(x)^2 =1という関係式が「全てのxで成り立つ恒等式」ではなく、「ある特定のxで成り立つ式」という仮定になっていることです。だから、例えばs(x)^2+c(x)^2 =1だからといって、必ずしも「s(-x)^2+c(-x)^2 =1」とは言えないわけです。

こういう事情があって、最初の2つの恒等式を直接変形して~という戦略が取りづらいのです。

 

悩んだ末に思いついた解法が、「複素数を導入して、実部と虚部を比較する」という方法です。

つまり、c(x+y)+is(x,y)を考えて、これを式変形するとc(x+y)+is(x,y) = {c(x)+is(x) }×{c(y)+is(y) }となり、この状態でy=-xとすればこれまでの結果からc(x)=c(-x), s(x)=-s(-x)が示せる、という作戦です。

 

この発想は、s(x)がsin、c(x)がcosと見なせ、複素数平面で、複素数の掛け算は角度の足し算にできる、ということから思いついたアイデアです。

 

<筆者の解答>

 

第3問

三角形の成立条件に関するベクトルの問題です。

 

(1)迷ったら特定の文字について整理して考えるとよいでしょう。今回の場合は、和と差の積を只管作っていきます。

 

(2)三角形の成立条件から、「2辺の長さの合計>残り1辺の長さ」が成り立ちます。

 

(3)辺の長さの比を文字でおいて、AHをAB, ACで表現していくことを考えます。このとき、文字の置き方に対称性を持たせると見通しが良くなります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

3次関数と1次関数で囲まれる面積に関する問題です。

 

(1) f(x)=kxを変形すると実質2次方程式が作れます。その時、2次の係数と定数項が異符号であれば題意を満たします。

 

(2) (1)の解をα,0,β (α<0, β>0) とすると、2曲線で囲まれる部分はα≦x≦0の部分と0≦x≦βの部分の2つに分かれます。

 

前者の面積S1と後者の面積S2をそれぞれ計算するのはかなり面倒なので、直接S1=S2を言い換えていきます。すると、「f(x)-kxをα~βで積分すると0になる」と言い換えられるので、これが実現可能なのかを、解と係数の関係を使って見極めます。

 

<筆者の解答>

 

第5問

回転体の体積に関する問題です。

 

(1)定石通りに積分計算していきます。

 

(2) V(a)をaで微分して増減を調べればよいでしょう。相加相乗平均を使う別解もあります。

 

<筆者の解答>