ちょぴん先生の数学部屋

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平成の慶応医学部数学 2000年

私立最難関の一角、慶應義塾大学の医学部の問題を取り上げます。

 

今回から2000年以前の問題を解いていきます。

第1問

点の軌跡と面積を計算する問題です。第2問以降が重量級なので、この大問はサクッと解いてしまいたい所です。

 

(1)法線の式と放物線の式を連立する、という一本道ですね。

 

(2) tを消去すればよいでしょう。

 

(3)方程式は複2次型の四次方程式になるので、比較的容易に解けます。a,bも正になることに注意です。

 

(4) 直線とf(x)の上下に気を付けて積分すればOKです。

 

<筆者の解答>

 

第2問

確率の問題ですが、集合の言葉で書かれてるが故に問題文の翻訳が厄介で、かつ状況を過不足なく調べ尽くすことが難しい問題です。

 

(1)vの値を固定してサイコロの出方を調べていけばよいです。

 

(2)条件の意味するところは、「n-1回目までは1にも2にも着地せず、n回目で初めて1か2に着地する」となります。(答案で「2か3」とあるのはすべて「1か2」の誤りですので、適宜読み替えて下さい)

 

この時、一度も1や2に着地することなく、0,3~6にいる確率を数列でおいて漸化式を考えてあげると見通しが良くなります。

n-1回目終了時点で、0, 3~6のどこにいたとしても1/3の確率で1か2にたどり着けることからpnが計算できます。

 

期待値の計算は、お馴染みの「公比をかけて足し引きする」方法でもよいですし、答案のように微分を利用する方法でも解けます。

 

(3)条件の意味を翻訳していきましょう。

まずXn-1とAの共通部分が空集合なので、n-1回目までは1にも2にも着地しません。

 

このとき、n回目に1か2に着地すればよいのですが、どちらに着地するかで状況が変わってしまう、というのがこの(3)の難しいポイントです。

 

n回目に2に着地する場合、2はAとBの両方に含まれているので、XnとA、XnとBの共通部分が同時に発生できます。(3は途中着地してもいなくても構わないです)

 

一方n回目に1に着地する場合、XnとAの共通部分は確実に発生しますが、XnとBの共通部分については必ずしも存在するとは限りません。このときは、もう1つ条件が必要になります。それは、「n-1回目までに少なくとも1回3に着地している」です。

 

こうして状況を過不足なく調べられましたので、確率計算していきます。前者の場合は(2)と同じような考え方をすればよく、後者の場合は途中に余事象の発想を利用していきます。

 

(4)条件は、「i回目までに2に着地する」か「i回目までに1にも3にも着地する」となります。最小のiについて考えられるので、この2パターンのどっちが先に達成できるかで場合分けしていきます。

 

このときのn-1回目までに「最低どこに着地してないといけないか?」「どこに着地してはいけないのか?」を慎重に考えないと間違ってしまいます。

 

確率計算については、これまでの治験を使ってショートカットするのが良いでしょうね。

 

<筆者の解答>

 

第3問

行列を使ったベクトルの大きさの最大値についての問題です。

xがSに含まれるなら、s=cosθ, t=sinθとおくことができる、というのが1つポイントです。

こうすることでl(Ax)がθの関数となるので、最大値m(A)が調べられるようになります。

 

(1)(2)上記の方針で考えていけばよいでしょう。(2)の場合は三角関数の合成を利用していきます。

 

(3)まずは上記の方針で、m(A)とm(A^2)をそれぞれ計算するのが先決です。

m(A)の計算の際は、気付きにくいですが「2重根号外し」が実は使えます。m(A^2)の方は、予めA^2を計算しておいて、m(A)の各文字を置き換えていけばよいです。

 

ルートも絡んだ複雑な式なので、「式変形で等号成立を証明する」という方針は現実的ではなさそうです。このことから、「おそらく一致しないだろう」と予想できます。こう予想したら、とりあえずa,b,cにシンプルな値を代入して見ましょう。今回の場合は、a=b=c=1とすると、見事等式が成立しない例になります。

 

<筆者の解答>

 

第4問

分数関数の漸化式に関する問題です。

 

(1)まずはy=f(x)のグラフを考えることが先決です。こうすることで、xがどの範囲の時にyが1/2を上回るか下回るかを調べることができます。

 

グラフから得られたxの範囲で場合分けに従って、f2(x)を求めていきましょう。

 

(2) f(x)は、分母分子ともに整数係数の1次式になっている分数関数です。このとき、fk(x)はすべて、同じく分母分子ともに整数係数の1次式になっている分数関数になることが分かります。

fk(x)=0は、分子(整数係数の1次式)=0を考えることと同じなので、ここからfk(x)=0の解は全て有理数だと証明できます。

 

(3)申し訳ありません。この問題は解けておりません。

問題の意味するところは、「f1(x), f2(x),・・・・をすべて集めると、そのどれかには分子がqx-pとなるものがある」ことを証明せよ、となります。

 

n=2,3で様子を見てみると、n=2の場合はk=1とすれば、n=3の場合はk=2とすれば見つかります。

この2つの結果から、「n=mのときはk=m-1とすればいいのでは?」と予想したのですが、f4(x)を計算してみると、早速その規則性が破られ、アテが外れてしまいます。

 

fk(x)の一般形を考えるには分子だけではなく分母も知る必要があり、f(x)自体が2種類の形に分かれているので、どう掛け合わせるかで幾重にも場合が増えてしまいます。

 

このようになってしまったので、方針が決まらず断念してしまいました。。。

 

<筆者の解答>