2023年も大学入試のシーズンがやってきました。 今回は、東京医科歯科大学数学に挑戦します。
<概略> (カッコ内は解くのにかかった時間)
1: 折れ線の個数 (80分)
2: 空間内の点列の極限 (40分)
3: 微分方程式(30分)
計150分
<体感難易度>
2≦3<1
ここ最近の医科歯科は第1問に新規性の高い重厚な問題が置かれることが多いのですが、今年のセットもそれに倣っています。
新規性の低い後半の2問を確実に仕留めた上で、最後の余った時間で第1問に挑戦する、という作戦でよい気がしますね。
<個別解説>
第1問
折れ線の個数を調べる問題です。
問題の設定は、要するに「n×1の長方形の周上にある格子点全てを縦横の線だけの一筆書きで辿る方法がどれだけあるか」というものです。
(1)とりあえず実験してみようという小問です。n=1の場合はコの字型の折れ線になり、どの辺が開いているかの4通りになります。n=2の場合は、n=1の場合をベースにしてとりあえず試行錯誤して描いてみましょう。
(2)こちらも実験です。
スタートとゴールのx座標が、(0,3), (1,4), (0,4)の3パターンある(左から右へ進む経路を想定しています。進行方向を逆にすればスタートとゴールが反転します)ので、それぞれについて、とりあえず手を動かして描いてみましょう。
こうしてみると、一筆書きをしようと思ったら意外と動きが制限され、スタートとゴールを決めると経路が1通りしかできないことに気が付くはずです。
さらに、スタートとゴールの差が奇数の場合は両者ともy座標が一致した経路しかなく、逆に偶数の場合はy座標が異なる経路しかないことにも気が付きます。
これらの気付きを(3)以降で生かしていきます。
(3)この場合、スタートとゴールのx座標が(0, n-2), (1, n-1), (2, n)の3択なのでそれぞれについて考えますが、(0, n-2)と(2, n)は左右反転しただけの関係なので実質(0, n-2)の方だけを調べれば大丈夫です。
(2)までの気付きから、n-2の偶奇で経路の様子が変わりそうなので場合分けしましょう。
結果として、nの偶奇によらず、各経路は上下反転を込みにした2通りずつが存在することが分かります。
(4)スタートとゴールの差がkになる経路数を調べ、それをkについて足し上げればLnの個数が求まります。
ここまでの考察から、1≦k≦nの場合は、スタートとゴールのx座標を決めると、上弦反転を込みにして2通りずつ経路があることが分かるので、実質スタートとゴールの決め方の個数を考えればよくなります。
k=0の場合だけ例外処理が必要で、この場合は全体がコの字型になる2通りしかありえません。
以上の結果を足し上げましょう。少なくとも(1)の結果とは整合性が取れているので、これで大丈夫かと思います。
<筆者の回答>
第2問
空間内の点列の極限に関する問題です。
(1) 結局π2の方程式を求めて、そこから法線ベクトルを作れ、という問題です。
(2)Pkの漸化式を作る問題で、問題の設定上当然ながらkの偶奇による場合分けが発生します。その際、π1がxy平面そのものであることに注意しましょう。
kが偶数の場合は、Pk+1がπ1上にあって、かつPkPk+1ベクトルがn1 (※π1の法線ベクトル)と平行になっている、という2つの条件を連立させることで漸化式を作れます。kが奇数の場合も同様です。
(3) (2)で作ったPkの漸化式からPkの一般項を求めて極限を取る、という方針でよいでしょう。kが奇数の場合の漸化式、偶数の場合の漸化式に分けて考えるととよいでしょう。
<筆者の回答>
第3問
微分方程式の問題です。
(1)問題文の恒等式の左辺は、そもそも部分分数分解によって積分計算を実行できます。それによって式変形していきましょう。
(2) f(x)に与えられた3条件をとりあえず代入すると、3つの連立方程式ができます。これを解いていけばよいのですが、要領よく解いていかないと大変なことになります。
コツとしては対称性の高い者同士を絡ませる、出来るだけ因数分解ができるように文字消去していく、です。
(3) (2)ができていればほとんどおまけですね。指数関数の底が1より大きいことに着眼できればOKです。
<筆者の回答>