ちょぴん先生の数学部屋

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2024年度大学入試共通テスト 数学Ⅰ・A  解答速報

皆さま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

ここ数か月本業の仕事が忙しかったり、引っ越しがあったりとドタバタしてたため中々更新できませんでした・・・ご心配をかけしてすみません。

ということで、これが新年1発目となります。

 

今日行われた2024年度共通テストの問題を見ていきます。

まずは数学IAを扱います。

※試験当日に解いており、ミスがあるかもしれません。

<略解>

※第5問のサは0です。略解で書き漏らしてましたので修正させていただきます。

[追記]1/15 8:00時点で公式回答を確認し、全問正解を確認しました。

 

<個別解説>

第1問[1]

 

√13の小数部分を考察する問題で、初っ端から受験生にはとっつきにくい問題が来てしまいましたね。普通に国公立の2次試験で通用するレベルの問題だと思います。

 

ア:2√13の整数部分を問われているので、√13の値を0.5刻みで評価することを考えるとよいと思います(小数部分の0.5は2倍することで整数にできます)。

3より大きく4より小さいのは一目瞭然ですがまだガバガバです。13が9よりも16に近いから「√13は4寄りなんじゃないか」とあたりをつけるのがポイントでした。そうなれば、3.5^2と13の値を比較すればOKです。

 

イ、ウ:アの結果からa=2√13 -7だと分かるので、bは分母の有理化をするのみです。

 

エ~カ:a,bを2乗して計算するよりも、和と差の積の因数分解を利用した方が楽に計算できますね。bの分母が3なので、3bは分数じゃない形にできます。

 

キ、ク:各辺の分母3が煩わしいので払ってしまえば、実質3bの整数部分を求める問題に化けます。

 

ケ:アでの考察から自明でしょう。

 

コ、サ:⑥式を使うとaが分数で挟めるので、それを√13を挟む不等式に書き換えてあげればよいでしょう。

おそらく、背景に「連分数」の考え方がある一連の大問だと思いました。

 

<筆者の解答>

 

第1問[2]

 

三角比を題材にした問題です。「共通テスト」に代わって以降恒例の実用的な題材がテーマになってます。

記号が煩わしいため、以後θ=∠DCPと簡略化してしまいます。

 

シ:一般常識ではありますが、道路標識の「傾斜○○%」の○○はtanの値です。今回の問題でいえば、tanθ=0.07ということになります。

 

ス~ツ:θの三角比を使ってDEとBEの長さが計算できることに気付くことが大事です。さらに、太陽高度が45°という都合のいい角度になっていてAE=DEになっています。これでABの長さが計算できることになります。

 

テ~ニ:いきなり問題文の式を作るのは難しいので、tan42°をどうやって計算できるかを考えてみるとよいでしょう。△AEDに着目して三角比を考えるのが近道です。

※今回斜辺であるAPの長さが一度も登場してないので、斜辺を使わない三角比であるtanが主役になりそうだと予想ができます。

 

<筆者の解答>

 

第2問[1]

 

面積が絡んではいますが、2次関数の問題です。

以後時刻をtとして考えますが、t=3を境にQの座標の場合分けが発生することが本問最大のポイントです。

 

まずはP,Qの座標をtの式で書かないことには始まりません。その上で△PBQの面積S(t)を計算していきます。

S(t)は全体の台形から3隅の三角形を除去する形で計算するのが良いと思います。また、OQは上記のように場合分けが発生するので、途中まではOQのままで処理を進め、最後に具体的なOQの式を代入する方が良いです。これだけでも計算ミスを減らせる工夫になります。

 

あとは、0≦t≦3の場合と3≦t≦6の場合のそれぞれについて最大値最小値を考えることになります。グラフを書くのが良いでしょう。不等式処理も同様です。

 

<筆者の解答>

 

第2問[2]

 

共通テスト名物、データの問題です。正直この場面でしか解かない分野のため、毎年身構えてしまいます。

 

サ:ヒストグラムでピークになっている部分の横軸を読み取ればOKですね。

 

シ:全体の人数が50人なので、中央値になるのは25~26人目となります。その人数になるよう、ひたすら小さい順にデータの数を積み上げていきましょう。

 

ス:全体が50人なので、13番目はちょうど箱の左端になります。左端の位置を読み取って差を計算します。

 

セ:四分位範囲とはすなわち箱の長さです。これも目分量で調べればよいでしょう。

 

ソ~ツ:一見すると見慣れない式ですが、実はz=の形に直すと実質「偏差値」を計算する式になっていることが分かります。

AとBとでは平均と標準偏差が違っているため、単純なタイムの比較では優劣を比較できません。そこで、zという「偏差値」に変換することで優劣を比較しようという趣旨の問題です。

今回はタイムが短い方が優れているので、zの値が小さいほど優れていると解釈できます。テストの点数の偏差値の考え方とは逆になっているので、混乱しないようにしましょう。

 

テ:(a)については左の散布図から容易に正しいと読み取れますし、(b)については明らかに右側の方が直線に近い=相関が強いと判断できます。

 

<筆者の解答>

 

第3問

 

確率の問題です。共通テストでは恒例の「前の小問をヒントにして後の小問を答えていく」タイプの問題になっています。

 

ア、イ: A→B, B→Aのいずれかであればいいので簡単でしょう。

 

ウ:A,Bが最低一回出るように樹形図を描いてしまえばOKです。

 

エ~キ:ウと同じような樹形図を描くのは少々苦労します。ここで便利なのが「余事象」の考え方ですね。つまり、全体の出方2^4=16通りから、Aしか出ないパターンとbしか出ないパターンの計2通りを除けばお目当ての物が手に入ります。

AとBの出る確率が等確率なので、単純に場合の数の比がそのまま確率になります。

 

ク:3回目で初めて出る文字をCで固定してあげると、2回目までの出方ははA,Bが最低1回出る方法なのでア、イで既に計算しています。

2回目までがA,Bのみなら3回目はC一択なので、これで3回目=Cの場合は計算終了です。

3回目がAでもBでも同様の議論をすればよいだけなので、Cに固定した場合の場合の数を3倍すれば答えです。

 

ケ、コ:問題文にある「3×ク」が場合の数になるのは、まさにクの部分で説明したロジックです。

 

サ:これまた同じロジックで、3×エオと計算できることに気付けたでしょうか?

 

ス、セ:「最初の3回でA,B,Cが全て出て、4回目と5回目はD以外なら何でもよい」という出方を計算します。

 

ソ、タ:「4回目で初めてA~Cが揃い、5回目はD以外なら何でもいい」という出方を計算することになりますが、前半部分はケコで検討済みですね。

 

チ~ナ:最後の「5回目で初めてA~Cが揃う」場合の数はサシそのものです。

以上を合計すれば、「5回目まででA~Cが最低1回出て、6回目に初めてDが出る」場合の数が計算できたことになります。

 

最終的に求めたいのは、「6回目に初めてA-Dが最低1回出る」確率なので、4倍してあげる必要があります。(6回目にA,B,Cが出る場合も、Dが出る場合と全く同じですよね)

 

<筆者の解答>

 

第4問

 

n進数を題材にした整数問題です。

 

ア~ウ:10進法を嚙み砕くと、例えば123であれば、123=1×10^2+2×10^1+3×10^0と表現できます。この指数の10をnに置き換えたものがn進法です。

 

エ~カ:2進法を直接4進法に変えるのはややこしいので、一旦使い慣れた10進法を経由させるのが確実です。

 

キク:T4がカンストしリセットされるのは、4^3の項が必要になる時、すなわち64になったときになります。

 

ケコサシ:T6の場合も同様に6^3=216秒後にカンストしてリセットされます。T4とT6が同時にリセットになる秒数は、64と216の最小公倍数になりますね。素因数分解するとスムーズに計算できるでしょう。

 

ス~ソ:4進法の012は10進法で6になりますので、キクでの考察からl=64a+6の形ならよいことになります。

 

タ~ツ:T3についても同様に考えると、l=27b+5のときにT3のカウントが012になります。l=64a+6とl=27b+5を同時に満たす最小のl,a,bを調べるのが目標になります。

 

定番の1次不定方程式になりますが、解を1つ見つけるにはユークリッドの互除法を利用するのが賢明です。

 

テ:T6についても同じように考えて1次不定方程式を解けばよいのですが、なんと1次不定方程式が「偶数=1」という矛盾したものになってしまうので、残念ながら解なしということになります。

この小問で解けてしまうことになると、とんだ時間泥棒になってしまうため、むしろ親切設計と言えましょう。

 

<筆者の解答>

 

第5問

 

共通テスト定番の初等幾何の問題です。今回のセットではこの問題が地雷枠であり、回避した方がいいと個人的に思いました。

 

ア~ウ:式を見るからにメネラウスの定理を使いそうですが、一見するとそれが分かりやすい図になっていません。

メネラウスの定理を使う際は、三角形の「頂点」と、三角形と直線の「交点」を明確に区別して、「頂点→交点→頂点→交点→頂点→交点」となるように一周すると間違いのない式ができます。これを覚えておくとよいでしょう。

 

エ、オ:同じようにメネラウスの定理を使っていきます。

 

カ:円と2直線と言えば、方べきの定理です。

 

キ~シ:Qが交点となるような方べきの定理を考えることで、ある点が円の外にあるか中にあるかを判定しようという、かなりトリッキーなことをしています。

XがA~Cと同一円周上にあってQが円の内部にあるので、XQ<DQであればDは円の外、XQ>DQであればDは円の内と判定できます。

 

ス、セ:同じように方べきの定理を考えてAS, RBと長さを比べるわけですが、CR=RS=SE=3というのがあまりに唐突な情報で頭をそっちに持っていかれそうになっちゃいますね。

実際に調べればそうなるのかもしれませんが、タイトな時間内でそれを確かめてる時間は間違いなくありません(私も現時点で何故か調べられてません)。

 

<筆者の解答>