ちょぴん先生の数学部屋

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大学入試の珍問 ~点数を自分で決められる問題!?~

この世の中に数多ある大学入試の過去問ですが、時に「珍問」と言えるような変わった問題が出題されることがあります。

 

その1つがこれです。

1995kyoto

京都大学の1995年文系後期で出題された問題です。(1)はよくある証明問題ですが、(2)が非常に珍しい問いになってますね。

「好きな値を代入して、出てきた数があなたの得点です!!」っていう、自分で点数を決められる設問になってます。

 

とりあえず、思い思いの数字を入れてみてください。

このあと、重大なネタバレをするので、一度ノーヒントで試してから、この後の記事を読むことをオススメします。

 (以下ネタバレ注意)

「あれ?g(n)が0ばっかじゃねーか!」

きっとそう思ったと思います。

 

点数をできるだけ稼ぎたいので、当然g(n)の値を最大にしようと考えると思います。(1)の結果から、nが7以上を調べても意味がないと分かるのでn=0,1,2,3,4,5,6で調べたくなってきます。

 

ということで、nが小さい順に調べていくと、

g(0) = 3 f(7) =0

g(1) = 3 f(28) = 0

g(2) = 3 f(140) = 0

g(3) = 3 f(784) = 0

という感じに最初のうちは全部g(n)が0になって焦ってきます。。続けてやってみると、

g(4) = 3 f(4676) = 3 f(7×668) = 0

g(5) = 3 f(29008) = 3 f(7×4144) = 0

g(6) =3 f(184820) = 3 f(7×26402 +6) = 3×6 =18

となり、最後の候補のn=6にしてようやく0じゃない数になります。

 

ということで、この設問の得点は、nを6以下に限定すると、

・n=6のときだけ、18点

・nがそれ以外の時は、0点

という結果になります。

 

(1)の結果を使うとnが6以下のときだけ考えればよいと分かるのですが、使わずに合同式を使って考えると、実は、

nが6の倍数の時だけg(n) = 18、

nがそれ以外の時はg(n) = 0になる

というオチになります。

 

つまり、この小問の得点は、どうあがいても18点か0点にしかならず、当てずっぽうでnを選ぶと、1/6の確率でしか得点が入らないのです!!

 

この大問の配点が30点で小問が2つ、、、18点という点数はいかにもという感じですね。g(n)の式に入ってる不自然な3にはそんな意図が隠れていました。

 

京大らしい、周到に仕組まれた、とっても意地悪な問題でした。

 

最後に、筆者の答案を載せておきます※(2)だけ

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