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平成の東大文系数学 2015年

旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。

この記事では東京大学の2015年の問題を取り上げます。

 

理系の記事はこちら↓

平成の東大理系数学 -2015年- - ちょぴん先生の数学部屋

第1問

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命題の真偽を判定する問題です。こういう問題は難しいですね。。

 

A

左辺が3次式で右辺が2次式で、左辺には100までついているので成り立ちそうな気がしてきます。とはいえ証明なしではダメなので、f(n)=左辺-右辺とおいて微分して増減を調べてみましょう。最小になる可能性があるのがn=17,18の時なので代入して調べてみます。

すると、n=17のときにf(n)<0となってしまうことが分かります。よって、n=17という命題が成り立たない例外が見つかってしまったので、偽となります。反例がn=17の1個だけというのがイヤらしいですね。。

 

B

2つの式を見比べてみると、3lがキレイに消せることが分かります。すると、不等式の左辺がm,nの2次式となるので平方完成してみましょう。m=n=0の時はlが整数にならないので、最小になるケースはm=n=1となることに注意です。

 

<筆者の回答>

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第2問

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点の存在範囲を求める問題です。

 

条件(ⅱ)は、p+q=0だとすぐに分かりますのでさっさと処理してしまいます。問題は条件(ⅰ)の方です。

 

条件を満たす放物線の式をy=ax^2+bx+cとおいて処理していきます。A,Bを通るという条件からb,cがaだけの式で書けるので、放物線をaの方程式と見なせるようになります。あとは、この方程式がaの満たすべき範囲に解を持つようにx,yの条件を求めていきましょう。

 

<筆者の回答>

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第3問

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2つの接する円の半径に関する問題です。

 

この問題の最大の肝が、C2がy軸とどの点で接するかを見抜くことです。円に引かれた2本の接線の性質から、実はこれがC1と同じくy=1だと分かります。これを見落とすと泥沼確定です。

 

これが分かったら2円が接するという条件からr1,r2の間の関係式が分かり、8r1+9r2をr1の式だけで書けるので最小化します。文系の範囲では、相加相乗平均を使えるように式変形するとよいです。

 

<筆者の回答>

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第4問

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理系第2問とほとんど同じ問題です。相違点は以下です。

 

理系:サイコロ1~3 →AA, 4→B, 5→C, 6→D

文系:コイン 表→AA, 裏→B

 

要するに、文系がBと一本化されているのに対し、理系が等確率にB~Dの3文字に分裂しているのが相違点となります。

 

とはいえ、理系の問題でもAAだけ特別で、B~Dは同等に扱ってよいので(1)の議論及び答えは理系のものと全く同じです。答えが違ってくるのは(2)ですが、最後にかける確率が、理系の場合は1/6なのに対して文系の場合は1/2という違いしかありません。

 

よって本質的に理系の問題と全く同じ問題なので、詳しくは理系の記事をご覧ください。

 

この問題は、理系でも最難問だったので、文系では完全に捨て問です。