旧帝大の文系向けの過去問を取り上げます。理系との共通問題は理系の記事を参照して頂くこととし、基本は文系ユニークの問題のみ取り上げます。
この記事では大阪大学の1996年の問題を取り上げます。
理系の記事はこちら↓
平成の阪大理系数学 -1996年- - ちょぴん先生の数学部屋 (hatenablog.com)
第1問
指数関数の大小評価を行う問題です。
(1) 左辺ー右辺を計算して因数分解すれば示せます。この段階で(2)に備えて等号成立条件を調べておくとよいです。
(2) (1)の不等式を使うと、2^a+2^b+2^c ≦ 1 + 2^c + 2^(3-c) と評価出来て、等号成立条件はab=0です。
一見すると相加相乗平均が使えそうに見えますが、相加相乗平均では最小値については議論できても最大値の議論はできないので、この問題では使えません。かといって、その場合右辺の増減を調べるには微分が必要になりますが、文系範囲を逸脱してしまいます。ここで相当悩みました。
直感的に、右辺 1 + 2^c + 2^(3-c) はc=0,3で最大になりそうなので、そこでの値を計算すると10となります。そして、10 - (1 + 2^c + 2^(3-c) )を計算してこれが0以上だったら、最大値が10だと言えそうです。実際(1)の不等式を使うと示すことができます。
最後に、a,b,cの対称性から(a,b,c)の列挙をすることを忘れないでください。
<筆者の回答>
第2問
ベクトルを使った恒等式の問題です。
(1) これはOP, OQ, ORをa,b,tの式で求めて計算するという基本問題です。
(2) (1)の結果を使ってtの恒等式になる条件を求めていきますが、直接係数比較するにはかなり複雑な式になります。ここは、tに特殊な値を代入して必要条件を求める、という方法で考えるとよいでしょう。PQの式からt=1/2を代入したものと、t=0を代入したものの2つを準備すれば必要条件が揃います。t=0は範囲外ではありますが、「tを0に限りなく近づける」という極限の考え方を使ったと解釈することで正当化できます。
必要条件として△OABが正三角形だと分かるので、あとはこの時ちゃんとtの恒等式になっていることをチェックし、十分性も確認しましょう。
<筆者の回答>
第3問
4次関数とx軸で囲まれる面積に関する問題です。
(1)4次関数を0~bで積分したときに0になればS=Tとなります。
(2) 図を描けば、SとUの位置関係が逆になることが分かります。これが(3)のヒントになっています。
(3) (2)を利用するとT=Uとなる条件を(1)の結果を使って表すことができます。こうしてできた式と(1)の式を連立してあげましょう。bだけ仲間外れな形をしているので、bから消去すると楽でしょう。
<筆者の回答>